レポート

高齢者の運転免許の返納者の実態と意識について ~アンケート調査結果より(2021年版)~ リサーチ・レター2021年第2号

2021.9.1

要旨

  • 運転免許の返納者の23.2%が「大変良かった」、52.1%が「良かった」と回答した。合計すると75%を超える回答者が免許返納したことをポジティブに評価していた。
  • 運転免許を返納した理由は、「運転をしていなかった(ペーパードライバー)(27.7%)」、「運転をする必要がなくなった(23.7%)」、「高齢者による重大事故のニュースを耳にした(20.3%)」が上位の回答となった。 2019年の調査との比較では「高齢者による重大事故のニュースを耳にした」が16.1%から20.3%に増加した。
  • 運転免許を返納するメリットは、「事故を起こす心配がなくなった(58.1%)」、「車の維持費などの移動にかかる費用が安くなった(41.4%)」、「運動量が増えて健康になった(21.5%)」、「家族に安心された(21.4%)」が 上位の回答となった。また、年齢が高いほど免許返納のメリットを感じている傾向が確認された。
  • 運転免許を返納するデメリットは、「買い物の不便(18.1%)」などが挙げられた。免許返納後の「外出の頻度」は、回答者全体のうち2割以上で減少し、増加は5%以下であった。特に、最寄り駅やバス停までの徒歩による移動時間が 「10分以上」かかる場合、回答者の3割以上で外出頻度が減少し、増加は3%程度に留まった。

1. 調査の目的・背景

運転免許返納制度2は、高齢運転者による事故防止策として、1998年の道路交通法改正により開始された。警察庁は、2017年に運転免許返納の促進に関する通達を全国の警察機関に出している。

警察庁の統計資料によると、運転免許の返納件数は、2009年の51,086件から2019年の601,022件まで増加したものの、2020年は減少した(552,381件、75歳以上はこのうち52.4%)3

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