レポート

第1号 「高齢者の自動車運転に関する実態と意識について」

2021.9.1

要旨

  • 自動車運転に対する自信は高齢になるほど高くなる。これは過去に実施した2019年、2017年の調査と同様の傾向である。
  • 75歳以上の回答者の約6割は直近の3年間でヒヤリ・ハットの体験がないとしている。
  • 75歳以上の回答者のうち運転免許証の返納を検討したことがあるのは15%に満たない。運転免許返納を検討する主なきっかけは、「高齢者による重大事故のニュースを耳にした」ことである。運転免許証の返納を検討したが返納しなかった主な理由は「他の移動手段もあるが不便なため」である。
  • 4割超の回答者が「高齢者向けの安全運転支援機能付き自動車を前提とした免許証」があれば、それを取得して自動車運転を続けたいと答えているものの、2019年の調査結果に比べるとその値は減少した。

1.調査の目的・背景

警察庁によれば、2020年末時点での我が国の運転免許保有者数は約8,198万人となっている。この値は1966年の統計開始以来増加を続けていたが、2019年より減少に転じている。その一方で、認知機能の衰えから、事故を 起こしやすいとされる75歳以上の運転免許保有者は、2020年末時点で約590万人となり、2015年末時点から約112万人増加しており、2020年末時点で運転免許保有者全体の7.2%を占めるに至った。

我が国における交通死亡事故件数は年々減少している。警察庁による「原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別死亡事故件数」の統計では、2020年の死亡事故件数は2,408件で、2019年に対し、13.4%減少した。 このうち75歳以上の高齢運転者による死亡事故は333件と、全体の13.8%を占める。

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