レポート

第16号「小学生向けSDGs授業プログラムの開発と今後の可能性」

2022.7.1

本号の概要

  • MS&ADインターリスク総研株式会社、三井住友海上火災保険株式会社の長野支店南信支社は、伊那市役所、伊那小学校と協力し、小学生向けSDGs授業プログラムを開発した。本プログラムは、SDGsを理解する上で欠かせない基本的な考え方や内容を、 対象者のレディネス(学習の成立に必要な、前提となる知識や経験、心身の準備性のこと)に合わせて伝えると共に、小学校の生活をSDGsの視点から再発見するワークを組み込むことで、SDGsに対する本質的な理解を促す構成とした。
  • 開発したプログラムを基に、2022年2月には伊那小学校の4年生1クラスを対象にSDGs授業を実施した。新型コロナウィルス感染拡大の影響も踏まえ、講師はMS&ADインターリスク総研のコンサルタントがWebを介して務め、 小学校でのファシリテーションはクラスの担任教諭が務める形式で実施した。
  • 本稿では、今回開発した小学生向けSDGs授業プログラムの内容やツールを説明するとともに、伊那小学校における実施事例を紹介する。また、本プログラムの効果、今後の活用による可能性についての見解を述べる。

1.SDGsを自分事として捉える教育の場の必要性と課題

現在、国連が定めた国際目標であるSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)への注目が高まっている。SDGsは、将来にわたって誰もが豊かに暮らせる社会を実現するために、2030年までに全世界において 解決すべき課題を見える化したものである。SDGsは17のゴール(どのような社会をつくるのか表した意欲目標)、169のターゲット(そのような社会をつくるために何をするべきか示した行動目標)、そしてそれらの達成度を 測るための評価尺度であるインディケーターから構成される。17のゴールには視覚的にも分かりやすいアイコンが設定されており、多様なステークホルダーがSDGsを共通言語として2030年の「あるべき姿」に向けて協働しながら 取り組むことが期待されている。

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