レポート

第14号「生態系に基づく災害リスク軽減と今後の利活用の検討」

2022.4.1

本号の概要

  • 自然と人間の関係の再構築が喫緊の課題として認識される中、本稿では特に自然が持つ防災・減災の機能(生態系減災:Eco-DRR)の定義や考え方を整理した上で、今後の利活用に関して論じました。
  • グリーンインフラは、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用する考え方で、例えば防災・減災や、生態系保全に役立つと考えられています。その中でも特に生態系を活かした防災・減災・インフラに着目する考え方として、 Eco-DRRがあります。Eco-DRRは、これまでのインフラと共存するかたちで、より防災・減災能力を高めるための手段として注目されています。

ここ数年で、気候変動や自然資本といったテーマについて、TCFDやTNFDのように企業に対して自然への影響と依存に関する情報開示を求める枠組みなどが生まれています。このように、『自然と人間の関係の再構築』が注目されていますが、 このテーマには様々な考え方や着眼点があります。本稿においては、生態系を活かした防災・減災・インフラという観点に着目し、グリーンインフラストラクチャー、中でもEco-DRRについて論じます。

1.日本におけるグリーンインフラの考え方

2015年に閣議決定された国土形成計画、第四次社会資本整備計画では、「国土の適切な管理」、「安全・安心で持続可能な国土」、「人口減少・高齢化などに対応した持続可能な地域社会の形成」という課題への対策の1つとして、 グリーンインフラに積極的に取り組んでいくことが記されました。今般の第五次社会資本整備計画の中にも組み込まれており、これまで3自治体しか実現できていないグリーンインフラを、2025年までに70の自治体で取り組みを開始することを 目標として掲げています。

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