レポート

第39号「地方創生を統合思考で深化させる」

2016.4.1

1. はじめに

21世紀に入り、グローバル化、金融危機、企業の透明性・説明責任への期待、資源の不足、人口増加、環境問題、等を背景として、企業の情報開示に対する新たなフレームワークである統合報告が求められるようになりました。1

統合報告の主たる目的は、投資家に対し、組織が中長期にわたりいかに価値を創造するかを説明し、金融危機の一因となった短期志向への偏重を変えていくことにあります。

当初は、統合報告の事例として、従来の財務報告が中心のアニュアルレポートに非財務情報(環境・CSR報告)を併せたようなものが見られましたが、それぞれの情報のつながりがわかりづらく、企業間である程度比較可能な規範が求められるようになりました。

こうして2013年に国際統合報告評議会(International Integrated Reporting Council=IIRC)が公表したのが「国際統合報告フレームワーク」です。2すでにこれに準拠して自社の価値創造プロセスを開示する企業が増えています。(図表1)

1「統合報告に向けて‐21世紀における価値の伝達」(IIRC、2011年)
2「国際統合報告フレームワーク」(IIRC、2013年)

このフレームワークの肝は「統合思考」です。これは、組織内の様々な「単位」と、組織が利用し影響を与える「資本」との間の「関係」について考えることを求めています。これによって組織は、短期、中期、長期の価値創造を考慮しながら、統合的に意思決定と行動が可能になるとされています。

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