レポート

第36号「気候変動に関する国際会議・交渉の経緯及び最新動向と日本企業の対応」

2015.4.1

1. はじめに

我が国では、『地球温暖化』(“Global Warming”)という用語が、従来から頻繁に使われてきました。しかし、関連する国際機関・会議である「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change:IPCC)」や、「気候変動枠組条約締約国会議(Conference of the Parties to the United Nations Framework Convention on Climate Change:COP)」では、『地球温暖化』ではなく『気候変動』(“Climate Change”)が充てられています。地球温暖化による平均気温の上昇のみがクローズアップされる傾向もありますが、気候変動とはそれだけではなく、降水パターンの変化や海水面の上昇、また一時的な寒波の襲来等の様々な気候の変動が含まれます。さらにこれらの国際機関・会議では、『気候変動の緩和・気候変動への適応』という用語が多用されていますが、我が国では、地球温暖化という側面のみで捉えていたため、必ずしもその理解が十分では無かったかもしれません。

一方、我が国は、2011年3月11日に発生した東日本大震災とその後の原発事故の発生もあり、京都議定書の第二約束期間(2013年~2019年)に不参加を宣言しています。しかし、本年(2015年)末にパリで開催予定のCOP21では、途上国や中国・アメリカ等も含めた全ての国(もちろん我が国も含まれる)が参加する2020年以降の新たな国際枠組みの合意が目指されおり、後述するように、従来、温室効果ガスの削減に消極的であったアメリカや中国等でも、野心的な温室効果ガスの削減目標が公表されています。

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