レポート

第84号「防火戸の管理と運用について」

2018.9.1

要旨

  • 防火戸は、火災の拡大防止のみならず避難に際しても、その特徴を把握しておくことは重要であり、閉鎖方式や性能など各種防火戸の特徴を解説した。
  • 有事の際、防火戸が正常に機能するためには日常の適切な維持管理が必要であり、弊社が実施する防災調査で見られる不具合事例を基に、維持管理運用のポイントについて、チェックシートも交え解説した。

1.火災被害の拡大を抑える防火戸

防火戸は、火災発生時に延焼や煙の拡散を防止する目的で多くの建物に設置されている。しかし、近代的建物や商業施設などでは、大部分の防火戸は壁に同化し気付いていないのではないだろうか。防火戸は、設置してあれば防火性能が得られるものではなく、正しく維持・管理および運用しないと本来の機能が発揮されず、火災による物的・人的被害を拡大させることになる。

本稿では、防火戸の特徴や弊社が実施する防災調査時に見られた不具合事例を紹介し、これらを踏まえた上での維持・管理および運用のポイントについて述べる。

2.防火戸の分類

防火戸は、大きく表1のように分類される。

以下に概要を説明する。

(1)戸の方式について

防火戸には開き戸(スイング)式、引き戸(スライド)式、シャッター式などがある。開き戸式やシャッター式(以下、特定する場合には防火シャッターとする)が一般的である。

会員登録で レポートを全て見る