レポート

第66号「倉庫の防火対策」

2015.9.1

1. はじめに

一般に倉庫と呼ばれている建物には倉庫業法に定められた営業用倉庫、工場内に所在する原料倉庫、製品倉庫、製造施設内の保管エリア、作業場所を兼ねた倉庫、テントやスチール倉庫のような簡易倉 庫等、様々な形態がある。

これら倉庫には、建物・設備の維持・管理状況、保管されている物の種類、倉庫内での作業、有人・無人の別などにより、多様なリスクが潜在していると考えられる。

本稿では弊社が実施したリスク調査業務の経験を踏まえ、倉庫における火災事故の傾向と対策について述べる。

2. 倉庫火災の概況

(1) 発生件数

総務省消防庁が発表している資料によると平成25年および平成26年の1月~12月までの火災発生状況は表1.のとおりである。

平成26年の総発生火災件数43,741件のうち建物火災は23,641件(内、住宅火災は12,922件)であり、倉庫火災は図1.のとおり530件となっている。

ただし、住宅の物置、工場・作業場の保管場所など、倉庫として使用されていても倉庫の火災として報告されていない可能性があり、本稿で対象とする倉庫火災発生件数はこれより多いと考えられる。

(2)出火原因

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