レポート

「土砂災害リスクの把握と対応策」 災害リスク情報<第96号>

2024.4.5

要旨

国土の7割を丘陵地と山地が占める日本において土砂災害は身近な自然災害であり、ほぼ毎年のように死者・行方不明者や家屋被害が発生している。

これから土砂災害の発生件数が増える時期(春~秋)を迎えるにあたり、本稿ではあらためて日本における土砂災害発生状況や土砂災害の種類を振り返り、土砂災害リスクを把握するための情報や土砂災害への対応策について概説する。

1. 日本における土砂災害の発生状況

国土の7割を丘陵地と山地が占める1)日本において土砂災害は身近な自然災害であり、ほぼ毎年のように死者・行方不明者や家屋被害が発生している。

日本では、1999(平成11)年6月に広島で発生した大規模な土砂災害を契機として、2001(平成13)年4月に制定された土砂災害防止法注1 により、土砂災害のおそれのある地域が「土砂災害警戒区域」や「土砂災害特別警戒区域」に指定され、ハザードマップの整備や建物の構造規制、開発の規制などが行われるようになった。2023(令和4年)12末時点で土砂災害警戒区域等は全国で約69万6千区域が指定されているものの、被害軽減策が行われた区域の割合は2022(令和3)年3月末時点で22.2%であり2)、依然として日本における土砂災害リスクは大きいままである。

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