レポート

<号外>「兵庫県伊丹市の天神川の氾濫について」

2023.5.1

要旨

令和5年5月7日から8日の大雨により兵庫県伊丹市で天神川が氾濫しました。被害に遭われた皆様には心からお見舞い申し上げます。

本レポートでは天神川の堤防の決壊、氾濫の概要について、現場の状況と気象状況等をもとに報告します。なお、本レポートは令和5年5月15日時点での情報に基づいて作成しています。

1. 天神川の氾濫

兵庫県伊丹市を流れる天神川では令和5年5月8日未明に堤防が決壊した。決壊地点(伊丹市荒牧6丁目)では河川工事が行われており、川幅約14メートルを土のうで半分に区切り、左岸側だけ川の水を流していた。工事は出水期(6~10月)を避けていたが、県の想定を超える降水により川が増水し、左岸側の堤防が決壊した。40代女性が足首を捻挫する軽傷を負い、1棟が床上浸水、11棟が床下浸水(詳細調査中)する被害が発生した。8日1時55分に伊丹市では901世帯、2,088人に対し避難指示が発令されたが、5時までに解除された1)。8日8時には30メートルにわたる決壊箇所の仮締切りを設置し、市街地への洪水氾濫をとめる応急対応を完了した。

2. 令和5年5月7日から8日の気象状況

(1) 日本付近の気象状況

令和5年5月7日15時頃の時点で、日本の東から本州を通って東シナ海に前線が伸びており、東シナ海の前線上には低気圧があり東北東へ移動していた。日本のはるか東には高気圧があり、前述低気圧との間の等圧線の間隔が狭く、南よりの風が強く吹いていた。高気圧の縁辺を回る暖かく湿った空気が前線や低気圧に向かって流れ込み、大気の成層状態が悪化し降水が強化された。

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