レポート

<号外>「台風19号の被害から考察する事業所の水害対策」

2019.11.1

1. はじめに

台風19号がもたらした大雨は関東、東北地方をはじめとする各地において、河川の決壊、氾濫、土砂災害など甚大な被害を及ぼした。

その被害様相は人的被害に加え、住家、産業施設、電気、ガス、上下水道、通信などのライフラインや交通インフラにも深刻な損害を与えた。

本稿では、10月17日に発行した速報に続き、被災地へ赴いた現地調査に基づく被害状況と、それらから提起される事業所での水災対策における課題等について述べる。

2. 災害の概要

気象概況 -1年分の4割を超える雨量、短時間で猛烈な降雨-

10月24日には気象庁より本台風による観測雨量データが公開されており、図1に、本台風通過前後(10月10日~10月13日)の各地での降水量を示す。それによると東日本を中心に17地点で、500㎜を超える降水量を観測しており、また図2に示すとおり、一部の観測点では年降水量の平年値の4割を超える降水量を観測している。さらに、総降水量1001.5㎜を記録した神奈川県箱根では10月12日21時までの24時間で942.5㎜の降水量を、総降水量607.5㎜を記録した宮城県筆甫では10月13日1時30分までの12時間で517.5㎜の降水量を観測している。このように、本台風による大雨は、総降水量が大きいことに加えて、12時間から24時間の短期間の間に多くの降水を観測した点が特徴といえる。

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