レポート

ESGリスクトピックス 2023年度 No.1

2023.4.1

<気候変動>
「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定、大規模な脱炭素投資やカーボンプライシングを構想

化石エネルギー中心の産業・社会構造をクリーンエネルギーへと転換する「グリーントランスフォーメーション(Green Transformation、以下「GX」という)」の実現に向けた基本方針が、2月10日に閣議決定された。この基本方針では脱炭素への対応に加えて、エネルギーの安定供給、日本の脱炭素技術を活用した市場創出とそれによる経済成長の3点を実現するための取り組みがまとめられており、下記の2軸で進められる。

(参考情報:2023年2月10日付 経済産業省HP

<ESG>
企業対象のESG訴訟が増加、背景に子会社・サプライチェーンへの責任拡大

持続可能な開発のための経済人会議(WBCSD)が2月14日公表したレポートによると、企業に対するESG関連訴訟が過去30年間で25%増加、特に直近10年間で急増している。分析によると、子会社やサプライチェーンに起因する訴訟やESG関連リスクのデューデリジェンスの不備などを捉えて取締役会の善管注意義務違反を問う訴訟の増加が目立つという。1990年から2022年までのESG関連訴訟623件を分析した。

(参考情報:2023年2月14日 WBCSD HP

<情報開示>
GPIF公表の優れた統合報告書 トップは伊藤忠商事、全体では定量開示に好感

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2月22日、同法人が国内株式の運用を委託する運用機関が選定した「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」を公表した。「優れた統合報告書」では、伊藤忠商事が最多の7機関から高評価を得た。全般的には、財務・非財務両面で定量的な情報の開示を指向した企業に高評価が集まった。

4機関以上から評価を得た企業は伊藤忠商事の7機関のほか、日立製作所、オムロン、リコー(いずれも6機関)他、計6社だった。うち、5社は、22年に発表された前回の選定から引き続き4機関以上に選ばれている。

(参考情報:2023年2月22日 年金積立金管理運用独立行政法人HP

<景品表示法>
景品表示法改正案の閣議決定

政府は2月28日、景品表示法(以下「景表法」)の改正案を閣議決定した。本改正は、インターネット広告における優良誤認表示等の景表法違反行為の増加を背景に、直罰規定の新設や課徴金の加算規定の新設による違反行為に対する抑止力の強化、確約手続の導入により事業者による速やかな是正対応等の自主的な取組を促進することで、一層の消費者保護を図ることを目的としている。

(参考情報:2023年2月28日付 消費者庁HP

<サイバー>
身代金ウイルス攻撃被害で日本企業が上位 AI進化で言語の壁下がり標的に、MBSD調査

三井物産セキュアディレクション(MBSD)が2月20日に公表した「暴露型ランサムウェア攻撃統計CIGマンスリーレポート」によると、2022年末に暴露型ランサムウェア(身代金ウイルス)の攻撃を受けた国別の企業・組織数で日本が上位だったことが分かった。これまで日本語の特殊性により被害を免れていたが、自動生成AIの進化に伴い、標的になりやくなったと考えられる。

(参考情報:2023年2月20日付 三井物産セキュアディレクション株式会社HP

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