レポート

ESGリスクトピックス 2022年度 No.7

2022.10.1

<サステナビリティ>
SX版伊藤レポートと価値協創ガイダンスを刷新、SX実現へ開示・対話強化の取り組み提示

経済産業省は8月31日、「伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」と「価値協創ガイダンス2.0」を公表した。最新の伊藤レポートでは、企業価値創出の手段として「サステナビリティ・トランスフォーメーション」(SX)の必要性に言及。無形・知的資産や非財務情報開示の必要性を喚起した前回のレポート2.0から進化させ、社会と企業のサステナビリティを同期化した経営・事業変革のための具体的取り組みを整理した。

(参考情報:2022年8月31日付経済産業省 HP

<人的資本>
内閣官房、「人的資本可視化指針」の策定を発表

内閣官房は、「人的資本可視化指針」(案)に対し7月29日まで募集していたパブリックコメントの結果を公示するとともに、策定した同指針を発表した。
昨今、人的資本への関心が高まっている中、本指針はステークホルダーに向けた情報開示に重点を置き、開示の具体的な項目や内容、必要な準備等についてまとめている。特に開示項目については、現在、様々な組織(国際標準化機構(ISO)、世界経済フォーラム(WEF)、米証券取引委員会(SEC)等)がそれぞれ開示基準を設けている状況を整理した上で、日本企業が開示するべき項目・具体的な内容を示している。

(参考情報:2022年8月30日付内閣官房HP

<ワークライフバランス>
「産後パパ育休」10月1日より施行

2022年10月1日、出生時育児休業(産後パパ育休)が施行された。本制度は男性の育児休業取得を促進することを目的として、育児休業取得ニーズが高い子どもの出生直後の時期に、これまでの育児休業よりも柔軟で休業を取得しやすい枠組みとして創設された。出生時育児休業の概要は以下の通り。

(参考情報:2022年8月22日付厚生労働省HP

<人権>
米政府が新疆ウイグルの強制労働疑い製品の輸入禁止を強化、リスク未掲載の企業も対象

中国の新疆ウイグル自治区で少数民族の強制労働が疑われる問題で、米国およびEUが同国からの輸入規制を強化している。米国が輸入差し止め対象企業を増やす一方、EUも9月14日に強制労働に関与した製品の輸入禁止を目的とした法案を公表した。日本企業にとっても自社のサプライチェーンに規制対象企業が紛れ込むリスクが高まるため注意が必要だ。

(参考情報:2022年7月19日付米国国務省「2022年人身取引報告書など)

<サステナビリティ報告基準>
GRI、農業・水産養殖・漁業のセクター別サステナビリティ開示基準を公表

サステナビリティ報告基準のひとつである「GRIスタンダード」を提供しているGRI(Global Reporting Initiative)は、6月28日に「農業・水産養殖・漁業」に関する報告基準を公表した。GRIはセクター固有の特性を踏まえた報告基準「GRIセクタースタンダード」を策定する「GRIセクタープログラム」を2019年から進めている。前述の「農業・水産養殖・漁業」のほか、既に「石油・ガス」、「石炭」の報告基準が公開されており、「鉱業」の報告基準を策定するプログラムが進行中である。

(参考情報:GRI HP「Sector Program」、2022年6月28日付GRI HP

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