レポート

ESGリスクトピックス 2022年度 No.6

2022.9.1

<サステナビリティ開示>
サステナビリティ情報開示の「保証」を検討へ、金融庁有識者会議報告書

金融庁「サステナブルファイナンス有識者会議」が7月13日、第二次報告書を公表した。それによると、現在国内で制度化が進む企業の「サステナビリティ情報開示(非財務情報開示)」に関連して、第三者による「保証」を将来的な検討事項として挙げた。また、国内のESG投資の「基盤」とする目的で、温室効果ガスの排出量など企業のESGデータを集約・掲載する「情報プラットフォーム」の構築も挙げた。

(参考情報:2022年7月13日付金融庁HP

<気候変動>
金融庁、気候変動に関する金融機関とのディスカッションペーパーを発表

金融庁は7月12日、「金融機関における気候変動への対応についての基本的な考え方(以下、ディスカッションペーパー)」を発行した。この文書は、金融庁が金融機関と気候変動対策について議論をするためにまとめられた考え方や進め方を示したもの。同庁の検査・監督上の目線を盛り込んでいる。ただし、同庁は、この文書はあくまでも方針であり、チェックリスト及び指南書ではないとしている。

(参考情報:2022年7月12日付金融庁HP

<ビジネスと人権>
経産省が人権尊重ガイドライン案を公表、デューデリジェンスのプロセスを提示

経済産業省は8月8日、企業活動に求める人権尊重取り組みを提示した「サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン案」を公表した。国連「ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際的指針を踏まえつつ、日本で事業展開する企業の実態に合わせた具体的に解説を加えた。一般の意見を募り、内容を反映させた後に確定する。

ガイドライン案では、法的な拘束力はないとその特性を規定。すべての企業を対象に積極的な活用を促すことを目的に置いた。その上で、企業が人権尊重責任を果たすための取り組みを、①人権方針の策定・表明②人権デュー・ディリジェンス(人権DD)の実施③人権への負の影響を引き起こすまたは助長している場合の対応――の3つの分類に整理した。

(参考情報:2022年8月8日付経済産業省HP

<サステナビリティ経営>
企業統治指針規定の気候変動関連開示、東証プライム企業の対応済みは約60%

東京証券取引所は8月3日、プライムとスタンダード両市場の上場会社(3293社)を対象に企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)の順守状況を調査した結果を公表した。それによると、プライム上場企業で、気候変動に関する情報を指針規定の枠組みに則して開示していたのは約60%に留まった。

昨年6月の同指針改定では、サステナビリティ課題への取り組みを求める複数の原則が新設・改定された。そのうち、「自社のサステナビリティに関する取組み・情報の開示。

(参考情報:2022年8月3日付東京証券取引所HP

<D&O>
株主代表訴訟において過去最高額の損害賠償判決が下される

各種報道によると7月13日に東京地方裁判所で判決が出された株主代表訴訟において、賠償金額としては過去最高額である13兆円に及ぶ被告役員の賠償責任が認められた。その後、本判決内容に不服として原告・被告とも7月27日に控訴している。

本訴訟の今後の行方は見通せないが、今回の判決においてフォーカスされたもののひとつに、賠償金額の大きさがある。2000年以降の株主代表訴訟を俯瞰してみると、数十億円~数百億円規模の損害賠償を命じる判決が、複数出されている状況にある。

会員登録で レポートを全て見る