レポート

ESGリスクトピックス 2022年度 No.5

2022.8.1

<人権>
人権侵害救済の企業横断組織が正式発足

企業活動にまつわる人権侵害の申し出の受け付けや被害救済を目的にした企業横断の組織「ビジネスと人権対話救済機構」が6月16日、正式に発足した。サプライチェーンにおける外国人労働者などの支援を主眼とし、 本人のほかNGOや支援者などからの申し出も受け付ける。

同機構は、電子機器メーカーなどの業界団体「電子情報技術産業協会(JEITA)」と有志の弁護士で構成する「ビジネスと人権ロイヤーズネットワーク」、笹川平和財団などが主導して設立。国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」 (以下、「指導原則」)が求める苦情処理メカニズムの構築・運用を目的としている。具体的には、申し出の受け付け窓口や事実確認、対策の提案などを担う。

(参考情報:2022年6月16日付一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構 HP

<TNFD>
TNFDコンサルテーショングループ・ジャパンが設立

2022年6月3日、MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社は、日本におけるTNFD*の推進のため、TNFDフォーラムメンバーによる「TNFDコンサルテーショングループ・ジャパン(通称:TNFD日本協議会)」の設立を発表した。

TNFD日本協議会は、TNFDが2023年9月に予定している自然関連の情報開示枠組みの完成に積極的に関与していくことを目的に設立された。本協議会は、フォーラムメンバーである環境省、金融庁、経団連自然保護協議会とも連携しながら、 TNFDベータ版の解説により参加者の理解を深め、参加者間での情報開示枠組みの改善のための議論を行い、枠組み開発への改善提案を行っていくことを主な活動としている。

(参考情報:2022年6月3日付MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社 HP「TNFDコンサルテーショングループ・ジャパンの設置と第1回会合の開催について」

<サステナブルファイナンス>
金融庁、ESG評価機関の透明性・公平性確保のための規範ドラフトを公表

金融庁サステナブルファイナンス有識者会議は7月12日、投資対象銘柄企業のESG評価や関連データを機関投資家などに提供する機関について、それらによる評価の透明性や公平性確保をするための行動規範のドラフトを公表した。 9月5日までパブリックコメントを受け付ける。

ドラフトでは、評価基準・手法等の詳細が不開示といった透明性や公平性への疑義や、評価機関が対象企業に有償でコンサルティングサービスを提供するケースでの利益相反の懸念について、ガバナンスや中立性の問題として指摘している。 その上で、ESG評価機関に主体的な検討・実践を促すための「原則」を提示している。

(参考情報::2022年7月12日付金融庁 HP

<感染症>
観光庁、外国人観光客受け入れ再開に向けたガイドラインを発表

観光庁は2022年6月7日に「外国人観光客の受入れ対応に関するガイドライン」を公表した。 本ガイドラインは、2022年6月10日から添乗員付きパッケージツアーによる外国人観光客の受入れが再開されたことに伴い、観光関係者が感染防止対策に関して留意すべき点をまとめたものである。

本ガイドラインでは、「感染拡大防止のために各観光関係者が留意すべき事項」と「陽性者発生時を含む緊急時の対応」の2つに大きく区分し、各局面(フェーズ)に応じた当事者別(旅行業者、添乗員、宿泊事業者等)の留意点が整理されている。

(参考情報:2022年6月7日付観光庁 HP

<サイバーセキュリティ>
重要インフラのサイバーセキュリティに係る行動計画が改定

重要インフラ*のサイバーセキュリティに係る行動計画(以下、本行動計画という)が6月17日に改定された。わが国における重要インフラを維持する上で、サイバーセキュリティへの取り組みをまとめたものである。本行動計画の目的は、 第一に重要インフラサービスの継続的提供を不確かなものとする自然災害、管理不良、サイバー攻撃、重要インフラを取り巻く環境変化等をリスクとして捉え、リスクを許容範囲内に抑制すること、第二にサービスの障害に備えた体制を整備し、 障害発生時に適切な対応を行い、迅速な復旧を図ることである。

(参考情報:2022年6月17日付内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)HP

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