レポート

ESGリスクトピックス 2022年度 No.3

2022.6.1

<自然関連情報開示>
TNFDが自然関連リスクの情報開示フレームワークのベータ版v0.1をリリース

ここ数年、気候を含む「自然」に関して、経営視点からリスクマネジメントを行い、情報開示することを企業に求める動きが強まっている。気候に関しては2017年のTCFD*による提言に沿った動きが主流化し、2021年6月には TCFDの自然版とも言われるTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)**が正式に発足した。2022年3月には、自然関連リスクの管理および情報開示のフレームワークのベータ版v0.1がTNFDによってリリースされた。

今回リリースされたベータ版v0.1は、以下3つの要素で構成されている。

  1. 幅広い市場参加者が自然や自然関連のリスクと機会について理解するための、科学に基づく主要な概念と定義などを含む基礎的なガイダンス
  2. TCFDが策定した気候関連のガイダンスに沿って作成されたTNFDの情報開示提案(草稿版)
  3. 企業や金融機関が自組織の自然関連リスクと機会を分析するためのガイダンス:LEAPプロセス
  4.   

(参考情報:2022年3月15日付TNFD HP

(参考情報:2022年3月発行「The TNFD Nature-related Risk & Opportunity Management and Disclosure Framework Beta v0.1 Release」

<SDGs>
SDGs推進支援、自治体の半数以上が「登録」制度を採用、全国調査で判明

都道府県や政令市・一般市で域内の企業らのSDGs取り組みを支援する動きが広がる中、支援制度を構築済みの自治体の約半数以上が「登録」制度を採用していることが分かった。運営管理に手間が掛かるものの、 参加する企業らの取り組みレベルで一定以上が期待できる点を重視して採用した自治体が多かったと考えられる。

地方創生SDGs金融調査・研究会が、2022年3月末時点の状況を取りまとめた。それによると、支援制度を整備済みの52の自治体について、同会の「地方創生SDGs登録・認証等制度ガイドライン」(20年10月)*で示した 「宣言」「登録」「認証」の3つの類型のうち、「登録」が最多の27自治体で、次に「宣言」が14自治体と続いた。

(参考情報:2022年3月31日付地方創生 SDGs 金融調査・研究会 HP

<サイバーセキュリティ>
経済産業省「産業サイバーセキュリティ研究会」から「産業界へのメッセージ」を発出

2022年4月11日、経済産業省は、第7回「産業サイバーセキュリティ研究会*」を開催し、各企業・団体等に、組織幹部のリーダーシップの下、サイバーセキュリティ対策に取り組むよう「サイバーセキュリティ対策についての 産業界へのメッセージ」を発出した。

メッセージのポイントは以下の4点。

昨今の情勢を踏まえると、サイバー攻撃事案のリスクは高まっており、ランサムウェアやEmotet(エモテット)と呼ばれるマルウェアを用いた攻撃をはじめ、サイバー攻撃による被害が増加傾向にある。

(参考情報:2022年4月11日付経済産業省 HP

<経済安全保障>
経済安全保障推進法が成立、供給網強化へ

2022年5月11日、第208回通常国会で「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(経済安全保障推進法)」が成立した。半導体等の重要物資におけるサプライチェーンの強化や基幹インフラの 防護体制の整備等が目的。同法は23年から段階的に施行される。

推進法は以下の4本柱で構成される。

上記4本柱のうち、特に多くの企業が影響を受ける可能性があるものが「①重要物資の安定的な供給の確保」および「②基幹インフラ役務の安定的な提供の確保」である。具体的には以下のような事象が想定される。

(参考情報:2022年2月25日付内閣官房 HP

<内部統制>
監査役協会が監査役を公益通報対応業務従事者に指定が必要なケースを紹介、公益通報者保護法改正で

日本監査役協会は2022年4月25日、改正公益通報者保護法を受けて、監査役等(監査役、監査委員、監査等委員)が行使する調査・是正等の監査権限と内部通報制度の関係について、消費者庁への照会結果をまとめた 「改正公益通報者保護法施行に当たっての監査役等としての留意点」(以下、「本留意点」という)を公表した。

同改正法では、「公益通報対応業務(通報の受付・調査・是正措置)」に従事して通報者を知り得る担当者を、「従事者」として指定することを企業に求めることとなった。一方で、監査役等はその権限にもとづいて通報された情報に接することが 想定される中で、「従事者」の対象に監査役等を含むのかなどの考え方を整理しておく必要があった。

(参考情報:2022年4月25日付日本監査役協会 HP

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