レポート

ESGリスクトピックス 2018年度 No.12

2019.3.1

国内トピックス2019年1月に公開された国内のCSR・ERM等に関する主な動向をご紹介します。

<学校ガバナンス>
文科省審議会が学校法人の自律的なガバナンスの改善・強化の方針を示す

(参考情報:2019年1月7日付 文部科学省HP)

文部科学省大学設置・学校法人審議会学校法人分科会の学校法人制度改善検討小委員会は1月7日、私立学校のガバナンスの改善・強化、情報公開の推進などを盛り込んだ制度改革の提言をまとめた。今後、この提言を下敷きに、私立学校法など関係法令改正の議論が進む見込み。

提言の「学校法人制度の改善方策について」は、私立学校が今後も社会から信頼と支援を得て重要な役割を果たすことを目的に検討。2004年の私立学校法改正における議論とともに、法改正以降の公益法人や社会福祉法人、医療法人などの制度改正も踏まえて、主に以下の4点で方策をまとめた。

<コーポレート・ガバナンス>
法務省審議会が会社法改正の要綱案まとめる

(参考情報:2019年1月16日付 法務省HP)

法務省の法制審議会の会社法制(企業統治等関係)部会は1月16日、会社法改正の要綱案をまとめた。

上場企業等を対象とした社外取締役設置の義務付けや役員報酬の決め方に関する情報開示の拡充などが柱となっている。コーポレート・ガバナンスに関する主なポイントは以下のとおり。また、これ以外にも株主総会資料の電子提供や株主総会での提案権、提案内容の制限に関する内容も盛り込まれた。2019年の通常国会に改正案を提出し、20年の施行を目指す。

<サステナビリティ>
日本初のAlliance for Water Stewardship(AWS)認証をサントリー工場が取得

(参考情報:2019年1月18日付 サントリー社HP)

サントリーは1月18日、同社の奥大山ブナの森工場(鳥取県)がAlliance for Water Stewardship(以下、「AWS」)認証を取得したと発表した。日本でのAWS認証取得はサントリーが初となる。AWS認証は持続可能な水管理を認証するもので、今までにネスレ・ウォーターズやギリシャ・コカ・コーラ、フィリップモリス等が認証を取得している。現時点で認証を取得しているサイトは合計26サイト。

<ガバナンス>
有価証券報告書などの記載拡充を目的にした改正内閣府令が施行

(参考情報:2019年1月31日付 金融庁HP)

有価証券報告書等の記載事項について定めた改正「企業内容等の開示に関する内閣府令」が1月31日、即日施行された。

本改正は、2018年6月に公表された金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告で、「財務情報及び記述情報の充実」「建設的な対話の促進に向けた情報の提供」「情報の信頼性・適時性の確保に向けた取組」に向け、適切な制度整備を行うべきだとの提言がなされたことを踏まえ実施されたもの。

海外トピックス2019年1月に公開された海外のCSR・ERM等に関する主な動向をご紹介します。

<ESG投資>
投資商品販売時に顧客のESG選好考慮を義務付けるEU規則案が公表

(参考情報:2019年1月4日付 欧州委員会HP)

欧州委員会は1月4日、投資会社や保険会社が投資商品を販売する際に、顧客のESG選好方針を考慮することを義務付けるEU規則案を公表した。

欧州委員会は、従来からEU経済のサステナビリティ向上に向けた金融システムの改革に取り組んでおり、2018年3月に「サステナブルファイナンスに関するアクションプラン」*を採択した。本規則案は当該アクションプランの一環となるもの。

<環境>
廃プラスチック問題解決のための企業アライアンスを設立

(参考情報:2019年1月16日付 AEPWウェブサイト)

海洋などの廃プラスチック問題に対処するための企業アライアンス「Alliance to End Plastic Waste(AEPW)」が1月16日、発足した。住友化学や三井化学、三菱ケミカルなどの日系企業のほか、BASFやダウ、P&G、DSM、シェル、トタルなどの28社が設立メンバーとして名を連ねた。5年間で合計15億ドルを投じて、主に下記の4分野で、環境中の廃プラスチックを削減するための投資やプログラムを支援する。

<ガバナンス>
米機関投資家が、投資先に求めるセクハラ・暴力防止の原則を共同で策定

(参考情報:2019年1月14日付 合同プレススリリース)

米国の大手機関投資家4社が、投資先企業に安全な職場作りの推進を求めた共通原則"Trustees United Principles"を策定し、1月14日に公表した。その中で、職場でのセクシャルハラスメントや暴力が発生した際の役員の真摯な対応や企業内の各層の性別や人種などの多様性向上など、企業に求める4項目を提示。専用のホームページも開設され、原則に沿った取り組みを進める企業が、署名することでその意思を表すことができる。

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