レポート

ESGリスクトピックス 2017年度 No.6

2017.9.1

国内トピックス2017年6~8月に公開された国内のCSR・ERM等に関する主な動向をご紹介します。

<人権>
武田薬品が3つのプログラムでSDGsに貢献することを公表

(参考情報:2017年6月30日付 同社HP)

製薬大手の武田薬品は、「途上国・新興国の人々の健康に貢献する予防活動」を重要テーマとして、今年度の3つのCSRプログラムを採択した。同社は優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献するとともに、医薬品の提供だけでは十分にサポートしきれない患者・家族を支援することを企業方針に掲げており、今回のプログラムもこれにもとづくもの。

これらのプログラムは世界70か国の同社従業員の投票によって決定したもので、27.5億円を提供する。国連が定めた2030年に向けた開発目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)の目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」に貢献するものである。

<ESG>
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が「ESG指数」を選定

(参考情報:2017年7月3日付 GPIF HP)

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は7月3日、日本株のESG指数*を3つ選定し、同指数に連動したパッシブ運用**を開始したことを発表した。

GPIFは、昨年7月~9月にかけてESGの効果により、中長期的リスク低減効果や超過収益の獲得が期待される指数の公募を行い、選定した。今回採用されたのは、ESG要素全てを考慮に入れる総合型の「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」「FTSE Blossom Japan Index」の2つと、「S(社会)」のうち女性活躍に着目したテーマ型の「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」の合計3つの指数である。

<事業継続>
東京ガスが都市ガス小売全面自由化後初となる総合防災訓練を実施

(参考情報:2017年7月20日付 同社HP)

東京ガスは7月20日、内閣府中央防災会議が公表する首都直下地震と同程度の地震が発生したという想定で、関係会社および協力企業を含む同社グループの社員約2万1千人を対象とする総合防災訓練を実施した。

同社は、災害対応力の向上を目的として、1983年から総合防災訓練を実施している。今年度は、本年4月1日からの都市ガス小売全面自由化*に伴い、ガス導管事業者(同社)と新規ガス小売事業者との連携が重要視されている点**を踏まえて、両者の災害時の連携の確認等も訓練要素として取り入れた。また、経済産業省や新規ガス小売事業者等も見学可能とした。

<生物多様性>
名古屋議定書に関するABS指針が施行

(参考情報:2017年8月18日付 環境省HP)

2017年8月20日、名古屋議定書に対応した国内措置である「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する指針(以下、ABS指針)」が施行された。

名古屋議定書は、生物多様性の重要課題の一つである「遺伝資源の取得の機会(Access)とその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(Benefit-Sharing)」、すなわちABSの実施を確保するための手続きを定める国際文書として、2010年に愛知県で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択されたものであり、日本は2017年5月22日に同議定書を締結した。

海外トピックス2017年7月に公開された海外のCSR・ERMに関する主な動向をご紹介します。

<ESG投資>
国連責任投資(PRI)が格付会社と機関投資家の信用リスク評価とESGの関係を分析したレポートを公表

(参考情報:2017年7月5日付 PRI HP)

国連責任投資原則(Principles for Responsible Investment、以下PRI*)は7月5日、「Shifting perceptions: ESG, credit risk and ratings PART1 THE STATE OF PLAY」を発表した。

本レポートは、ESG情報が信用リスクに与える影響を分析することを目的に、PRIが格付会社9社・機関投資家約1700社を対象にESG情報をどのように考慮しているかなどについて調査を行い取りまとめたもの。

<持続可能性>
仏英が相次いでガソリン車販売停止を発表、世界の脱化石燃料に拍車かける

(参考情報:2017年7月 仏英政府HPなど)

フランス・英国両政府が7月、相次いで将来ガソリン車・ディーゼル車の国内販売を停止する方針を明らかにした。

先行したのはフランス政府で、7月6日の発表(下表)によると、2050年のカーボンニュートラル達成に向け、2040年までにすべての内燃機関車(石油、石炭、ガス)の販売を段階的に停止する。補助金などで電気自動車(EV)への買い替えを促進するほか、国内の発電所でも化石燃料の使用を停止する方針。

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