ESGリスクトピックス 2016年度 No.5

2016.8.1

国内トピックス2016年5～7月に公開された国内のCSR･ERM等に関する主な動向をご紹介します。

＜ダイバーシティ＞
ソフトバンクが障がい者向けの「ショートタイムワーク制度」を本格導入

（参考情報：2016年5月23日 ソフトバンクHP）

ソフトバンクは5月23日、障がいにより長時間勤務が困難な社員が週20時間未満で就業できる「ショートタイムワーク制度」を本格導入すると発表した。

同制度は、障がいにより就労意欲があってもその機会を得られなかった全ての障がい者が参加できる新しい雇用システムづくりを目的としたもの^*。これまで一部の部門において同制度を運用し、アンケート集計、データ入力、郵便物の封入・発送等の作業工程がシンプルな業務のほか、サービス説明用のイラスト作成、チラシデザイン制作、資料の英訳など特定スキルを活かした業務を同制度の対象の従業員に割り振っていたが、今般全社から同制度の導入部門を募る。

＜コーポレートガバナンス＞
政府が「日本再興戦略2016－第4次産業革命に向けて－」を閣議決定、公表

（参考情報：2016年6月2日 首相官邸HP）

政府は6月2日、「日本再興戦略2016－第4次産業革命に向けて－」を閣議決定し、公表した。

コーポレートガバナンス改革も本戦略の最重要課題の一つとしており、より一層の取組推進のため、4つの観点から、各種施策を掲げている。主な施策は以下の通り。

＜コーポレートガバナンス関連の主な施策＞

1．実効的なコーポレートガバナンス改革に向けた取組の深化

＜コンプライアンス＞
公正取引委員会が下請法の講習用動画を公開

（参考情報：2016年7月1日 公正取引委員会HP）

公正取引委員会は7月1日、下請代金支払遅延等防止法（以下「下請法」）の講習用動画「やさしく解説・よくわかる下請法講座～下請取引で困らないために～」を公開した。

公正取引委員会は従前から下請取引の公正化を図り、下請法の違反行為を未然に防止するために各種講習会を実施しているものの、開催日程や開催地の都合が合わず受講できないという事業者の声に応えたもの。

海外トピックス2016年6月に公開された海外のCSR･ERMに関する主な動向をご紹介します。

＜CSR調達＞
Forest Trendsが森林破壊根絶に対する企業の取り組みに関する報告書を発表

（参考情報：2016年6月6日付 Forest Trends HP等）

国際的なNGOのForest Trends^*は6月6日、森林破壊根絶を目的としたプロジェクト「Supply Change」の報告書「Supply Change: Tracking Corporate Commitments to Deforestation-free Supply chains, 2016」を発表した。

同報告書はサプライチェーンにおいてパーム油、木材製品、大豆、畜牛による森林破壊リスクを有する566社を対象として実施した調査の結果をまとめたもの。パーム油、木材製品、大豆、畜牛に起因する森林破壊は年間383万ヘクタール分であり、全世界における森林破壊の三分の一以上を占めている。報告書の主な内容は以下のとおり。

＜サステナビリティ＞
シンガポール証券取引所がサステナビリティ報告に関する規則を公表

（参考情報：2016年6月20日付 同取引所HP）

シンガポール証券取引所は6月20日、同取引所の上場企業に対するサステナビリティ報告書における要求事項を公表した。

同取引所はこれまでも、SGXサステナビリティ・インデックスの公表など、上場企業に対する投資家向けの情報開示と透明性の強化を促進する施策に取り組んできた。

今回公表されたものは、2016年1月より募集していた本規則の草案に対するパブリックコメントで寄せられた様々な指摘や質問を取りまとめ見解を示すことで、規則の主旨をより明確に示している。

＜強制労働＞
米国務省が人身取引に関する2016年版報告書を発表

（参考情報：2016年6月30日 米国務省HP）

米国務省は6月30日、2016年版「人身取引報告書（Trafficking in Persons Report）」を発表した。

同報告書では、強制労働、強制売春、児童買春、臓器売買、少年・少女兵などあらゆる人身取引の実態が報告されており、各国政府の取り組みなどが4段階^* で評価されている。

同報告書は、2000年に人身取引被害者保護法（Trafficking Victims Protection Act以下、TVPA）が制定されて以来、毎年刊行されている。初刊の2001年版は、82か国が対象だったが、2016年版では188か国が対象となっている。