レポート

ESGリスクトピックス 2016年度 No.4

2016.7.1

国内トピックス2016年4~5月に公開された国内のCSR・ERM等に関する主な動向をご紹介します。

<レジリエンス>
東京商工リサーチが『平成28年熊本地震「上場企業の被災状況開示」調査』を公表

(参考情報:2016年4月28日付 同社HP)

東京商工リサーチは4月28日、『平成28年熊本地震「上場企業の被災状況開示」調査』を公表した。同調査は、前震の発生した4月14日から4月28日までの間に東京証券取引所の運営する「適時開示情報閲覧サービス」でリリースされた資料のうち、熊本地震の影響に関するリリースを集計したもの。

熊本地震に関する影響についてリリースした企業166社あり、133社が何らかの被害を受けたとしている。被害を受けたことを公表した133社のうち86社は、「営業・操業停止」(73社)、操業や営業再開の「見通しが立たない」(13社)といった深刻な被災を公表した。

<社会貢献(食品ロス改善)>
ポッカサッポロフード&ビバレッジとその子会社がビッグデータを活用した豆腐適正生産量の予測モデルを開発

(参考情報:2016年5月18日付 同社HP等)

ポッカサッポロフード&ビバレッジと子会社である日本ビーンズ(豆腐等の製造販売業)は、ビッグデータ研究機関「オプトデータサイエンスラボ」とともに、豆腐の適正生産量を予測するモデルのコンペティション(以下、コンペ)を開催し、コンペで得られたモデルを実際の適正生産量の予測ツールとして導入したと発表した。

同社は、日本の社会問題のひとつである食品ロス*の改善に向けて豆腐生産の需要予測の精度を高め、適正生産量を的確に予測することを目的として本コンペを実施した。

<ダイバーシティ>
厚生労働省が「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」改正の方針を公表

(参考情報:2016年5月25日 厚生労働省HP)

厚生労働省は5月25日の労働政策審議会において、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」を改正する方針を示した。

同指針は、職場のセクハラ防止のために事業主が講ずべき措置等を定めたもの。改正では、同指針について、「被害を受けた者の性的志向又は性自認にかかわらず、当該者に対する職場におけるセクシュアルハラスメントも、本指針の対象となる」旨を明記する。これにより、いわゆるLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)などの性的少数者も本指針の対象となることが明確化される。

<情報セキュリティ>
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が「増加するインターネット接続機器の不適切な情報公開とその対策」を発表

(参考情報:2016年5月31日 IPA HP)

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は5月31日、インターネットに接続される機器(IoT機器)の増加に伴い、IoT機器への不正アクセス、機密情報の漏洩などの脅威が増大してきていることを受けて、「増加するインターネット接続機器の不適切な情報公開とその対策」を公表した。

多くのIoT機器は、ウェブサーバー機能、ファイル共有サーバー機能、メールサーバー機能などが搭載されており、ネットワークに接続されることで、不正アクセス、機密情報の漏えい、設定情報の変更、攻撃の踏み台として悪用などの脅威に晒されている(下表1を参照)。

海外トピックス2016年3~6月に公開された海外のCSR・ERMに関する主な動向をご紹介します。

<人権>
英国資産運用大手のAviva Investorsなど6社が企業人権ベンチマークの評価手法を発表

(参考情報:2016年3月 Business & Human Rights Resource CentreのHP)

英国資産運用大手Aviva Investorsなどの6社*は、企業人権ベンチマーク(Corporate Human Rights Benchmark)で採用する企業の人権に関するパフォーマンスをランク付けするための評価手法を発表した。

企業人権ベンチマークとは、グローバル企業100社の人権に関するパフォーマンスをランク付けするプロジェクトであり、日本企業では、ファーストリテイリングとイオンの2社が評価対象に含まれている。今回発表された評価手法による評価結果は、本年10月に発表される予定。

<地球温暖化>
世界資源研究所など4団体が再生可能エネルギー購買者連合を発足

(参考情報:2016年5月12日付 世界資源研究所HP等)

世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)、ロッキーマウンテン研究所*(Rocky Mountain Institute)、Business for Social Responsibility**(BSR)は5月12日、企業における電力システムの再生可能エネルギーへの転換を支援するため、再生可能エネルギー購買者連合(Renewable Energy Buyers Alliance)を発足したことを発表した。

同連合は2025年までに米国内企業に新たに60ギガワットの再生可能エネルギーを導入することを目指しており、現在、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コムなど60社以上が参画している。

<海外危機管理>
米国国務省が世界各地のテロ活動に関する2015年度版報告書を公表

(参考情報:2016年6月2日付 同省HP)

米国国務省は2016年6月2日、国際的テロリズムの動向に関する2015年度版報告書(『2015 Country Reports on Terrorism』)を公表した。

同報告書は、前年の世界各地のテロ活動の傾向や件数、犠牲者数や負傷者数、加えて実行犯の情報等がまとめられており、2004年より毎年公表されている。

同報告書によると、2015年に世界で発生したテロの件数は、11,774件で、前年比13%減、死者数は28,328人で前年比14%減となった。

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