レポート

ESGリスクトピックス 2016年度 No.2

2016.5.1

国内トピックス2016年3月~4月に公開された国内のCSR・ERM等に関する主な動向をご紹介します。

<情報セキュリティ>
独立行政法人情報処理推進機構が「つながる世界の開発指針」を公開

(参考情報:2016年3月24日 同機構HP)

独立行政法人情報処理推進機構技術本部ソフトウェア高信頼化センターは3月24日、IoT*製品の開発者が開発時に考慮すべきリスクや対策を取りまとめた「つながる世界の開発指針」を公開した。

同指針は、あらゆる製品がインターネットに接続し、製品同士が相互に接続する「IoT社会」が到来することにより、IoT製品の利用者や製品自体の「安全性・セキュリティ」を脅かすリスクが懸念されることを受けて策定されたもの。懸念されるリスクとしては、「安全を脅かすリスク(自動車が不正に遠隔操作される等)」、「セキュリティを脅かすリスク(ATM等から不正に送金される等)」、「機能を損なうリスク(テレビ等が混線により操作不能となる等)」が挙げられている。

<コーポレート・ガバナンス>
日本生命保険が《日本版スチュワードシップ・コード》に係る取組みの強化を発表

(参考情報:2016年3月30日付 同社HP)

日本生命保険は3月30日、「責任ある機関投資家」の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》(以下、「本コード」という)に係る取組みを強化すると発表した。

本コードは、機関投資家が「スチュワードシップ責任*」を果たすにあたり有用と考えられる諸原則を定めており、本コードを受け入れる機関投資家に対して、本コードの各原則への対応状況をウェブサイトに公表するとともに、見直しを行うことを求めている。

<レジリエンス>
内閣官房国土強靭化推進室が「レジリエンス認証」制度を創設

(参考情報:2016年4月18日 一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会HP)

内閣官房国土強靭化推進室は4月18日、国土強靭化*の趣旨に賛同し、事業継続に関する取組を積極的に行っている事業者を「国土強靱化貢献団体」として認証する「レジリエンス認証」制度を創設した。

本認証制度は、各種企業・団体の事業継続に関する積極的な取組を広めることにより、社会全体の強靭化を進めることを目的として創設されたもの。本認証を受けた企業・団体は、交付されたレジリエンス認証マークを広告等に活用できる、国土強靱化に関するセミナー・シンポジウムに関する情報が優先的に配信されるなどのメリットが期待できるという。

海外トピックス2016年3月~4月に公開された海外のCSR・ERMに関する主な動向をご紹介します。

<ジェンダー>
国際労働機関(ILO)が女性の労働環境等に関する調査結果を公表

(参考情報:2016年3月8日付 同機関HP)

国際労働機関(International Labour Organization以下、ILO)は、国際女性デー*である3月8日に女性の労働環境等に関する調査結果である『Women at Work Trends 2016』を公表した。

同レポートでは、女性の労働環境の現状と過去20年間の改善状況について解説している。具体的には、男女別の就業率、業種の傾向、有償労働・無償労働の割合、週の労働時間、賃金格差、社会保障の差などについて国別、地域別にデータを分析し、解説を加えている。ILOの事務局長であるGuy Ryder氏は、同レポートを受けて、「女性がやりがいのある仕事を見つけて働き続けるには、いまだに多くの障壁が残っている」と述べた。

<人権>
Shiftが国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則した人権取組みに関する企業の報告をまとめたデータベースを公表

(参考情報:2016年3月22日付 同機関HP 他)

国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(The United Nations Guiding Principles on Business and Human Rights; 以下、UNGPs)」*の研究機関Shiftは3月22日、UNGPsへの対応状況に関する企業の報告をまとめたデータベース「The UN Guiding Principles Reporting Database」を公表した。

同機関は2015年2月に、国際会計事務所Mazarsと共同で、UNGPsに則した人権取組みに関する包括的な報告フレームワーク「The UN Guiding Principles Reporting Framework」を開発、公表した。

<CSR調達>
Initiative for Responsible Mining Assuranceが責任ある鉱業のための保証基準のドラフトを発表

(参考情報:2016年4月5日付 同団体HP、ティファニー社HP)

Initiative for Responsible Mining Assurance(以下、「IRMA」)は、4月5日、責任ある鉱業のための保証基準「IRMA Standard for Responsible Mining」のドラフトを発表した。

IRMAは、2006年6月に、カナダ・バンクーバーにおいて立ち上げられた、責任のある鉱業のための保証基準を策定するための部門横断的なイニシアチブである。アングロアメリカン社をはじめとする鉱業企業、ティファニーやウォルマートといった小売企業、NGOや業界団体等が加盟しており、鉱業分野において環境、人権、社会的基準への遵守を独立的に検証する自発的システムを開発・確立することを目的としている。

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