レポート

2022年度 No.5「中国の火災統計(2022年)から見る防火管理のポイント」

2023.3.1

要旨

  • 中国中央政府の応急管理部消防救援局は、「全国火災状況報告(2022年1月~10月)」を発表した。本報告をもとに、中国における火災発生状況、発生原因・特徴等について説明する。
  • 2021年から2022年にかけて中国で発生した重大火災の代表的な事例を題材に、火災の発生原因や教訓について説明する。
  • 弊社(インターリスク上海)では、中国において工場や倉庫の防災調査を年間100件以上実施している。弊社の経験をもとに、工場や倉庫等の現場でよく見られる不備事例を紹介し、防火管理強化、火災リスク低減のポイントを説明する。

1. 中国の火災統計

中国中央政府の応急管理部消防救援局が公表する「全国火災状況報告(2022年1月~10月)」によると、2022年1月から10月の間に、中国大陸全体で発生した火災(住宅、商業施設、工場等、あらゆる場所で発生したのものの累計)の件数は703,000件である。これによる直接的財産損失は約1,140億円、負傷者数は1,769人、死亡者数は1,557人と説明されている。前年同期と比較すると、火災件数は約10%増加したものの、財産損害や死傷者数は減少傾向にある。その理由については、報告の中で言及されていないが、近年消防当局からの各現場に対する安全監査が強化されていることにより、大規模拠点における安全対策が進んでいることが一因ではないかと推測する。

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