レポート

2021年度 No.1「<事例紹介> 著作権侵害による訴訟にご注意ください」

2021.5.1

要旨

  • 本稿では、ある日系会社に民事起訴状が届き、突然に著作権侵害訴訟の当事者となった事例の顛末を紹介する。
  • 少額の著作権侵害訴訟を大量に提起する手法は、少なくとも数年前より中国全土で発生しており、一部マスコミがその手法を批判的に紹介する等、社会的に関心を集めている。
  • 悪意なく他者の著作権を侵害し、同様の紛争に至ることがないよう、社内教育、自社コンテンツのチェック等を実施することをお勧めする。

1. 著作権を侵害したとする起訴状の受領

中国でコロナ禍が本格化する直前にあたる2020年1月、ある日系会社Aに対し、人民法院(裁判所)から送達回証(日本でいう内容証明郵便にあたる)で民事起訴状が届いた。 申立人は写真・動画素材を販売する映像会社Bであり、会社Aに対して以下の対応を求める内容であった。

起訴状には、一枚の写真(拡声器で何かを呼び掛けるスーツ姿の男性)と、会社Bが版権局(著作権の管理機関)にこの写真の著作権登録を行った際の登記証書が添付されていた。 また、会社Aが会社Bの著作権を侵害した証明として、会社Aのウェブサイトにその写真が掲載されている画面コピーも添付されていた。あわせて、人民法院からの通知として、 訴状送達から約1か月後の2月某日に裁判所に出廷し、調解(日本でいう調停にあたる)に参加するよう指示書が同封されていた。

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