2020年度 No.5「労働災害リスク低減に向けた取組み」
2021.2.1
要旨
- 近年の中国国内における労働災害による死亡者数は減少傾向にある。
- 日系企業では、日本の製造拠点で推進されている安全活動を中国国内でも水平展開するなど、労災防止に向けた各種安全対策を講じているが、一方で「現場作業者の安全意識が低い」「安全活動が形骸化している」などの課題も散見される。
- 本稿では、安全活動の基礎として効果的なリスクアセスメントの考え方や実施手順について紹介する。
1. 近年の中国における労働災害の現状
中国の国家統計局が公表する統計データによると、中国国内における労働災害(以下、労災)による死亡者数は年々減少傾向にある(図表1)。
しかし、2019年のデータをみると、未だに1年間で29,519名(1日あたり約80名)の人が労災により命を落としていることも事実である。現在も毎年一定数の労働災害による死亡者が発生していることを考慮すると、 更なる安全対策を講じるべき(労災リスクが潜在している)職場は、まだまだ多く存在するものと考えられる。
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