2020年度 No.4「太湖流域における洪水リスク」
2020.7.1
要旨
- 今年の梅雨時期(6月半ば以降)に長江流域で発生した大雨の影響により、太湖の水位が上昇し、保証水位(限界を示す危険水位)を超えたことを受け、太湖水文局は7月17日(金)に赤色の洪水警報を発令した。
- 江蘇省政府が定める「江蘇省における洪水・干ばつ対策の緊急計画」に基づき、太湖流域管理局は洪水に対する緊急対策レベルⅠ(4段階のうち、最高レベル)の緊急対応を開始した。
- 太湖流域には、上海、蘇州、無錫、常州、鎮江、杭州といった中国経済の発展において重要な都市が多くあり、人口密度も国内で最も高い。これらの地域にある企業は洪水リスクを注視している。本稿では公開されている情報に加え、筆者が現地調査を実施した内容をふまえ、太湖流域における洪水リスクについて紹介する。
※長江流域における洪水被害については、以下URLのリスク情報・レポートより「快報風険消息」をご参照ください
(URL:http://www.inter-shanghai.com.cn/index)
1. 太湖流域の地形的特徴
太湖は江蘇省南部と浙江省北部の県境に位置し、228本の河川とつながっている。その面積は3,192 km2におよび、鄱陽湖、洞庭湖に次いで中国で三番目に大きい淡水湖である。太湖を中心とする平野を太湖流域という。
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