レポート

2020年度 No.3「中国におけるVOCs処理設備の選定および安全管理」

2020.7.1

要旨

  • 改正「大気汚染防止法」が施行され5年目となり、中央・地方政府や各業界組織は、同法を踏まえた揮発性有機化合物(VOCs)対策に関連する行動計画、作業計画を発表している。これら関連文書を参考に、VOCs対策の今後の動向について分析する。
  • 中国生態環境部は2019年に「重点業界における揮発性有機化合物の総合対策方案」を発表し、今後のVOCs処理設備の選定について明確な方向性を示している。方案が推奨するVOCs処理設備とその運用についてまとめる。
  • VOCs処理設備の利用にあたっては環境のみならず安全にも配慮する必要がある。2020年4月1日以降、一般的な燃焼型VOCs処理設備に関する関連基準が発表された。これをもとに燃焼型VOCs処理設備の安全管理のありかたについて検討する。

はじめに

VOCsは「揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)」の略称である。微小粒子状物質(PM2.5)とオゾン(O3)を形成する重要な前駆体(生成の前提となる物質)であり、大気環境や気候変動へ大きな影響を与える。 2015年8月29日に改正された「大気汚染防止法第45条」では「揮発性有機化合物を含む排出ガスが発生する生産・サービス活動は、密閉された空間または設備で実施し、かつ規定に従った汚染防止施設を設置・使用すること」とされている。 全国の環境保護部門は関連部門と協力し、VOCs対策状況について、特定項目を対象とした検査を複数回実施するなど管理を強化している。VOCs対策は企業経営において、重要な管理項目の一つとなっている。

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