レポート

2020年度 No.2「国務院「全国安全生産特別改善の三年行動計画」について」

2020.6.1

要旨

  • 「企業がより安全な事業活動を実施すること」を目的として、国務院が2020年4月に公布し、すでに実施段階に入っている「全国安全生産特別改善の三年行動計画(以下、「行動計画」と記載する)」について、公布に至った背景、実施の目的、スケジュール等の概要を解説する。
  • 「行動計画」の中から、特に日系企業が多く進出している業種(製造業・物流倉庫業等)にとって影響が大きい2つの対策(①危険化学品対策、②消防対策)について、より詳細に解説する。
    ※「行動計画」にある「生産」は、工場等での生産活動のみならず事業活動全般を指す。

1.「行動計画」の概要

(1)「行動計画」公布の背景

近年、中国の事業活動における安全対策は「着実によい方向に向かっている」とされている。2019年の統計を見ると、安全生産事故(事業活動中に発生した事故)の発生件数と死亡者数は着実に減少している。 一方で、中国における事業活動全体の安全対策としては未だ「困難を克服しなければならない時期」にあると考えられる。危険化学品を取扱う企業、鉱山(炭鉱、非炭鉱)、道路運輸、建築工事等、ハイリスクとされる業種では、 全面的で有効な事故防止策が講じられておらず、依然として重大事故が相次いで発生している。国務院は、こういった安全対策の不足に起因する事故を撲滅することを目的として「行動計画」を制定した。 「行動計画」は、2020年からの3年間を1つのサイクルとして、各地方政府の関係部門が企業と連携して様々な安全対策を着実に実施し、国全体における事業活動の安全性の水準を全面的に向上させることを企図している。

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