レポート

2016年度 No.6「危険化学品の管理方案について」

2017.2.1

1.はじめに

2016年11月29日、中国国務院(日本の内閣に相当)は「危険化学品安全総合管理方案」(以下「方案」)を発表しました。これは、2015年8月に天津市で起きた危険化学品倉庫での大規模な爆発(※)を教訓として、再発防止の目的も踏まえて策定された方案です。

方案の実施スケジュールは、2016年12月から2019年11月となっています。このうち2017年から2018年3月にかけて、各部(日本の各省に相当)や地方政府等が具体的な施策を実行に移す計画で、これに伴って各種の法改正や運用の変更が考えられます。本稿では、方案を概観すると共に、危険化学品の安全管理に関わる現行法令にもふれながら、危険化学品の生産、貯蔵、使用、輸送を行う企業への影響を考察します。

※天津爆発事故

死亡者165名、行方不明者8名を生じさせた爆発事故。ニトロセルロースが管理不備により自然発火し、硝酸アンモニウムや硝酸カリウム等の危険化学品に延焼、激しい爆発を引き起こした事故。爆発の規模は、TNT火薬430トン相当とされる。 (詳細は、弊社の『風険快報』2016年2月10日発行号をご参照下さい。)

2.危険化学品安全総合管理方案

(1)目標

方案は、主に以下の5つを定性的な目標として掲げています。

  • 危険化学品を取扱う各業種のリスクや重大な危険源を把握する。
  • 人口密集地の危険化学品企業の移転を全面的に実施する。
  • 危険化学品の情報に関わる共有体制を確立する。
  • 危険化学品の安全監督体制の改善を図ると共に、関連法令の完備を進める 。
  • 応急救援能力や安全保障水準を向上させ、重大な危険化学品事故への対応力を高める。

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