レポート

2015年度 No.5「中国における製造物責任(PL)事情」

2016.2.1

1.はじめに

かつてのような高成長の勢いがかげりを見せつつあるとはいえ、中国は個人消費が今後年平均9%で伸びると予想されている潜在力の高いマーケットであり、多くの日本企業がこの魅力的なマーケットへの食い込みに日夜しのぎを削っている。また最近は「爆買い」の言葉で象徴されるように、多くの中国人旅行者が日本を訪れ、大量の日本製品を買い込んでいる。

このように、中国人と日本製品との接点がかつてないほどに高まっている今、日本企業としては中国の製造物責任(PL)リスクにさらされているともいえるため、中国におけるPL事情を改めて整理の上、理解しておくことが必要であると思われる。本稿では、中国におけるPL法制度のポイントや最近の動向に関する統計データ、中国におけるPL対策の留意点などを中心に、中国のPL事情について解説する。

2.中国におけるPL法制度

(1)全般

日本の製造物責任法(PL法)は不法行為責任を定めた民法709条の特例法の位置づけとされ、法制度自体はシンプルでわかりやすい体系となっている。一方中国の場合、PL法にあたるものとして1993年に施行された「製品品質法」が存在するが、他の法律にも製造物責任に言及しているものがあり、概して体系立てられていない。主な関連法規としては【表1】のものが挙げられるが、いずれにせよ、製品品質法だけを参照していると見落としが生じるので注意が必要である。

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