レポート

2015年度 No.1「3.15晩会の概要と企業の対策について」

2015.5.1

1.3.15晩会とは

日本では「世界消費者権利デー」の認知度はあまり高くないが、中国ではこの時期に各メディアが企業の製品やサービスの不備等を告発する報道を行うことが多い。なかでもCCTVが1991年から放送している「3.15晩会」は、近年の中国社会における消費者の権利意識の高揚と相まって視聴率が非常に高く、社会に大きな影響を与えている(表1)。

CCTVでは、3.15晩会の放送に向けて、視聴者から関心の高いテーマを広く募ったり、ホームページ上に市民からの告発専用ページを設けたりして、消費者の権利を侵害する事例を収集し、それらのなかから社会的な影響の大きい事例や悪質な事例を抽出し、場合によっては対象企業に長期にわたる潜入取材を行うなどして番組を制作している。また、CCTVに限らず中国のテレビ局は共産党中央宣伝部の影響下にあるほか、番組の共催として最高裁判所や公安部が入っていること等から、政府当局の意向にも配慮した番組作りがなされる傾向にあるといえる。

2.2015年の3.15晩会で取り上げられた主要なテーマ

同番組ではこれまで、詐欺行為、表示の改ざん、国家基準を満たさない物品等の販売といった明らかな違法行為のほか、製品の不具合等に対する企業側の不誠実な対応や、法外な価格を設定するなどして利益を最大化しようとする(「暴利」をむさぼる)企業姿勢等を取り上げ、糾弾してきた。今年の報道もこういった傾向に大きな変化は見られなかったといえる(表2)。

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