国内上場企業の事業継続マネジメント(BCM)実態調査を実施
2016年4月4日
MS&ADインシュアランス グループの株式会社インターリスク総研(社長:村戸 眞)は、国内全上場企業3,451社に対し、事業継続マネジメント(Business Continuity Management:BCM)の実態調査を実施し、回答状況をまとめました。
本調査は2005年から実施しており、今回で7回目となります。東日本大震災やタイ洪水などの大規模災害や、これらに起因するサプライチェーン途絶などを経験するなかで、日本企業のBCMに対する関心は年々高まっていると思われますが、今回の調査結果からは、事業継続計画(Business Continuity Plan:BCP)の策定に取り組む日本企業が増えている反面、BCP策定のみにとどまっている企業も多く、事業継続力を維持向上させるための包括的な取り組みが進んでいない現状が明らかになりました。
1. 調査の概要
- 調査方法
- 質問紙郵送法
- 調査対象企業
- 日本国内全上場企業 3,451社
- 回答数
- 379社(回答率:11.0%)
- 調査期間
- 2015年11月~12月
2. 調査結果
今回の調査による結果はグラフ上で「2015年度」と表記されています。また「前回調査」とは、2012年11~12月に弊社が実施した同種の調査結果を指します。
(1) BCP策定状況
問「貴社ではBCPを策定していますか」に対する回答状況
2010年度以前については、「現在、策定中である」「策定の計画がある」の項目は統合されていた
BCPを策定していると回答した企業が前回調査から10.2%増えており、日本企業におけるBCP策定が引き続き増加傾向であることが分かります。
(2) BCPに関する訓練の実施状況
問「BCPに関する訓練を定期的に行っていますか」に対する回答状況
BCPを策定したと回答した企業の増加に比べると、BCPに関する訓練を定期的に行っていると回答した企業は微増にとどまっています。
(3) 取引先の事業継続の取組みについて
問「貴社は、取引先がBCPを持つことは必要だと思いますか」に対する回答状況
問「貴社では、取引先にBCPを持つよう要請していますか」に対する回答状況
多くの企業が、取引先がBCPを持つことは必要だと回答している反面、取引先に対してそれを実際に要請している企業は少ないことが分かります。この状況は前回調査からあまり変わっていません。
3. 今後の課題について
調査においては、上記でお示ししたデータ以外にも、BCMを担当する部署の設置状況(専任/兼任を問わず)、BCMに関する従業員教育、BCPの定期的な見直しなど、BCMの活動全般にわたる設問に回答していただきましたが、BCPを策定したという回答が増えたことを除いて、従来の調査結果から大きな変化は見られませんでした。このような結果から、多くの日本企業におけるBCMの活動が、BCPの策定に限定されていると推察されます。
企業が災害などに対する事業継続力を備えていくためには、単に計画策定だけでなく、訓練や従業員教育、BCPの検証や見直し、取引先との協力など、多角的な取り組みが継続的に実施される必要があります。
インターリスク総研では、このような問題意識から、BCP策定のみにとどまらずBCM全般にわたる様々なソリューションを提供してまいります。
4. 調査結果のご提供
本調査に関する報告書は弊社Webサイト(下記URL)で無償公開しております。
弊社が過去に実施した実態調査の報告書も全て掲載しておりますので、合わせてご参照ください。
以上
本件に関するお問い合わせ先
株式会社インターリスク総研
事業リスクマネジメント部 田代 TEL:03-5296-8918
営業推進部 高井 TEL:03-5296-8919