コンサルタントコラム

年寄り笑うな行く道だもの

所属
交通リスクマネジメント部 交通リスク第二グループ
役職名
特別職
執筆者名
奥野 和男 Kazuo Okuno

2016年7月6日

『「あたりまえのこと」と、「危険予測」を、馬鹿にしないで、しっかりやる。』これまで350回にわたり行ってきた運転者向け講習での締めのことばである。この「あたりまえのこと」と「危険予測」を機械がやってくれる世の中がもうすぐ来そうである。これから老境に入っていく私にとって朗報である。「あたりまえのこと」が年をとるとできなくなる。ブレーキとアクセルを踏み間違えてコンビニに突っ込む。高速道路を逆走する。認知症の老人が歩道を暴走する。老人が老人をはねる。老人が当事者にならないまでも事故を誘発する。このまま行けば老人の事故、特に老人が第1当事者(事故に関わった人の中で過失が重い人、過失割合が同程度である場合は、人身傷害の程度が軽い人)の事故は必ず増える。ここ10年、16歳から64歳までの年代では第1当事者となった件数はほぼ半減している。一方70歳から79歳の年代ではほぼ横ばい。80歳以上では増加しており、85歳以上では倍増している。また2005年と2015年の年齢別の運転免許保有者数を比べると、65歳以上の占める割合は、2005年で12%であったのが、2015年には21%に達している。免許保有者も確実に高齢化している。さらに39歳以下ではそれぞれの年代で保有者数が減少しているのに対し、40歳以上では、55歳から59歳の年代を除き、それぞれ増加している。したがって今後、全体の免許保有者数は減少に転じるかもしれないが、50歳以上の年代については現在より増加するものと思われ、免許保有者の高齢化は加速するだろう。老人になったからといって運転はやめられない。昔は歩いて行ける距離に魚屋や八百屋があった。しかし今は、特に地方では、商店街にはシャッターがおり車がないと厳しい。

高齢者事故を防ぐためどうしたらいいか。有効なのは自動運転であるが、完全自動運転の実現さらに普及までにはまだ少し(かなり)時間を要するらしい。ではその間どうするか。

【70歳になったら高齢運転者マークを付ける。】

現在、高齢運転者マークの表示義務は実質的にはない。75歳になってマークを付けなくても罰則はない。表示は本人の判断に委ねられている。しかし年を取れば個人差はあるものの誰でも心身の機能は低下する。車は便利だが、凶器にも変わる。「俺はまだまだ大丈夫」「年寄り扱いするな」はエゴ。ひとつ間違えば他人の一生を台無しにする。マークを付けていない車が制限速度50kmの道路を40kmで走っていると「何してるんだケータイでもやってるのか!」となって煽られたりするが、マークを付けていれば「年寄りだからしようがない」となる。事故を誘発しないためにも70歳になったらマークを付ける。

【年寄り笑うな行く道だもの】

今は若くてもいずれは誰もが通る道。高齢運転者マークあるいは高齢の歩行者、自転車を見かけたら思いやりをもって優しく対応する。幅寄せ、割り込みはもってのほか。保護義務違反に問われ処罰される。

結局は老人本人の自覚と周りの者の思いやり。これからも講習で啓蒙していきたい。

因みに冒頭の締めのことば、実は「危険予測」も「あたりまえのこと」である。特出ししているのは、強調したいのと語呂合わせのためである。「A:あたりまえのことと、K:危険予測を、B:馬鹿にしないで、4:しっかり、8:やる」。二男の発案である。

以上

(2016年6月30日 三友新聞掲載記事を転載)

奥野 和男 Kazuo Okuno
氏名
奥野 和男 Kazuo Okuno
役職
交通リスクマネジメント部 交通リスク第二グループ 特別職
専門領域
交通事故防止コンサルティング