コンサルタントコラム

施設の安全管理に重要な自然災害やテロへの対応

所属
災害リスクマネジメント部 災害リスクグループ
役職名
マネジャー・上席コンサルタント
執筆者名
本間 基照 Motomitsu Honma

2016年6月1日

オフィスビル、商業施設、工場などでの事件、事故・災害の発生は、事業継続に大きな支障をもたらす。本稿では重要リスクである自然災害と、今後意識しておくべきリスクであるテロについて、留意すべき点を述べていきたい。

まずは自然災害への対応である。留意すべき点の1つめは災害想定の網羅的な把握である。自然災害は地震だけではない。地震における想定震度や、液状化の可能性のみならず、津波・河川氾濫等による想定浸水深なども把握すべきである。これらの情報は、市区町村の防災関連部門のホームページなどで確認することができる。

2つめは想定外の想定である。東日本大震災では想定を上回る津波が広範囲で発生し、熊本地震では震度7が2回発生した。自社の拠点だけではなく、取引先や物流拠点などについても災害想定を上回る被害が出る可能性を念頭に、事業の復旧、代替だけではなく、撤退も視野に入れた検討をしておくことをお勧めする。

3つめは地震発災直後の対応である。施設の耐震性が確保されており、火災の発生や化学物質など危険物の漏えいがない場合には、すぐ屋外に出ないことが基本となる。屋外では落下物の可能性もあり危険である。一人があわてて屋外に出ると、他の人が追随するなどのパニック状態となり、コントロールできなくなる恐れがある。定期的な防災訓練等により対応の基本を従業員に周知しておくとともに、地震発生直後に明確な指示が出せるよう、徹底しておくことも必要である。

今後意識が必要となる点はテロへの対応である。2015年11月のサッカースタジアムや飲食店などでのフランス、パリの同時多発テロ、2016年3月の国際空港や地下鉄駅内でのベルギーの連続テロなど、海外では大規模なテロ事件の発生が相次いでいる。テロとは地域の象徴的な施設等を攻撃したり、連続して攻撃することで、政治や宗教などに関する目的を達成する行為である。有力な企業、地域を代表する施設、不特定多数の人が多く集まる交通機関やイベント会場、要人が集まる機会などがターゲットになりやすい。

日本では1995年3月の地下鉄サリン事件以来、大規模なテロ事件は発生していないが、今後、こうした海外の動きと無縁でいられる保証はない。万一、爆破(予告も含む)、化学剤使用による事態が発生した場合、専門的な知識が必要でもあることから、自治体、消防、警察など、行政の指示に従うことが基本となる。その他、対応すべき事項として発生直後の通報連絡と在館者の安全な誘導がある。消防計画や対応マニュアルには、以上の事項を盛り込むこととなる。併せて避難誘導のための資機材として、マスクや防護衣などを用意しておくとよい。

自然災害が頻発し、2020年のオリンピックを控えている今、特に以上の2つのリスクについては、現状の把握や対応態勢が十分かどうか、更には他の事業者との協力体制を構築する必要があるか、などを再度検討することが必要であると考える。

以上

(2016年5月26日 三友新聞掲載記事を転載)

本間 基照 Motomitsu Honma
氏名
本間 基照 Motomitsu Honma
役職
災害リスクマネジメント部 災害リスクグループ マネジャー・上席コンサルタント
専門領域
企業・自治体・学校・大学のリスクマネジメント・防災対応支援/スポーツ・リスクマネジメント/イベント・リスクマネジメント/施設等(指定管理者)の安全管理