コンサルタントコラム

危険予知訓練で安全意識の向上を!

所属
交通リスクマネジメント部 交通リスク第一グループ
役職名
主任コンサルタント
執筆者名
渡辺 光彦 Mitsuhiko Watanabe

2015年11月11日

交通事故防止のための取り組みとして、さまざまな状況下で潜在する危険を予知・予測するトレーニングが定着している企業は少ないのではないだろうか。本稿では、危険感受性を高める危険予知訓練(以下、KYTと記載。)の効用について、以下に紹介する。

1. KYTの始まり

KYTは、昭和48年のゼロ災害運動(労働災害および疾病ゼロを目標としたもの。中央労働災害防止協会により実施。)のときに採用された危険予知活動が起源とされている。危険への感性を高める効果が大きい、という観点から労働災害のみならず、交通事故防止策としても知れ渡るようになった。厚生労働省の「交通労働災害防止のためのガイドライン」では継続したKYTを行うことが事故防止に効果的であることが明記されており、KYTは有効な交通事故防止取組の1つとして認知されている。

2. KYTの手法例

KYTの一例として「KYT基礎4ラウンド法」がある。イラストシートに描かれた交通場面を見ながら、「どのような危険が潜んでいるのか」について集団で話し合い、4つのステップ(ラウンド)を経て危険解消・対応策を具体化するというものである。1ラウンドでは潜んでいる危険について意見を出し合い、2ラウンドでは危険要因を掘り下げ、ポイントを整理する(右折時の対向右折車の陰に隠れた直進車や交差点の子供の急な飛び出しなど)。3ラウンドでは危険を解消するためにはどのようにしたらよいのか案を出し合い、4ラウンドで重点的に実施すべき対応策を具体化するものである。

3. トレーニングの効果

短い時間で手軽にトレーニングが行えるよう、弊社ではタブレット端末を活用した危険予測訓練ツール「セーフティトレーナー」を提供している。交差点周辺などの場面が数秒間表示されるので、その間に危険が潜んでいると思われる箇所を素早くタッチする、というものである。これを利用したある企業では、取り組みを始めてから2週間後、危険箇所の認識時間は平均で約0.3秒短縮され、正解率は約20%上昇した。危険を素早く、的確に認識する能力が向上すれば、その後の適正な動作につながることはいうまでもない。

運転は認知・判断・操作の繰り返しから成り立っているが、このうち認知ミスによる事故が事故全体の約7割を占めると言われる。いかに操作テクニックが上手な人でも、認知の段階で的確に危険を捉えられなければ事故を起こす。業務の合間などの短い時間を、認知力向上のトレーニングに充ててみることをお勧めしたい。

4. トレーニングにより醸成される安全意識

危険への感受性が高まれば、安全意識も向上する。今まで感じることができなかったことを感じられるようになり、いかに危険な目に合わないようにするか、を意識するようになるからである。個人レベルで安全意識が醸成されれば、必然的に企業全体の交通事故が減っていくことは容易に想像できる。

企業内の安全意識の醸成は、経営者からトップダウンで取り組んでいくことはもちろん重要であるが、一方で、個々人レベルで自発的に向上させていくことも重要である。企業内の安全意識醸成のため、各社の状況に応じたKYTを導入されてみてはいかがだろうか。

以上

(2015年11月5日 三友新聞掲載記事を転載)

渡辺 光彦 Mitsuhiko Watanabe
氏名
渡辺 光彦 Mitsuhiko Watanabe
役職
交通リスクマネジメント部 交通リスク第一グループ 主任コンサルタント
専門領域
交通事故防止コンサルティング