コンサルタントコラム

レジリエンスの向上を目指して~みやぎ企業BCP策定ガイドラインの活用~

所属
事業リスクマネジメント部 事業継続マネジメントグループ
役職名
上席コンサルタント
執筆者名
飛嶋 順子 Yoriko Tobishima

2015年4月22日

昨今、レジリエンスというキーワードで、BCP(事業継続計画)やBCM(事業継続マネジメント)について語られる動きが広がっています。

レジリエンスは、BCM分野でも以前から使われてきた言葉で、BCMの英国規格(BS25999)にも定義がありました。現在、BCM分野で世界的に使われているレジリエンスの定義は、リスクマネジメントの国際規格(ISO31000)の「複雑かつ変化する環境における組織の適応能力」というものです。これにはBCM分野で以前から使われてきた「平常時の業務プロセスやそれを支える経営資源を破壊、混乱、中断させるようなリスクを組織がうまく管理できる能力」という意味が含まれています。

一方、国内では、2013年12月に成立した「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」の中核概念である「ナショナル・レジリエンス」が有名です。同法は、国民の生命と財産を守り抜くため、事前防災・減災の考え方に基づき、強くてしなやかな国をつくるための「レジリエンス(強靭化)」に関する総合的な施策の推進を企図していますが、施策推進の際「特に配慮すべき事項」のひとつに「BCP/BCM等の策定の促進」が盛り込まれており、レジリエンスとBCP/BCMの深いつながりが見出せます。

この国際的に注目されているレジリエンスの視点を取り入れた、オールハザードにも活用可能な企業向けガイドラインが、宮城県の「みやぎ企業BCP策定ガイドライン」です。東日本大震災における宮城県内の様々な企業の貴重な経験・教訓を活かし、BCP/BCMの取り組みをさらに推進するため、2007年度公表の「宮城県緊急時企業存続計画作業手順(第1版)」を大幅に改訂して策定されました。

同ガイドラインは、レジリエンスの視点に加え、BCP/BCM関連の公的ガイドラインとしては国内で初めて、具体的方策を示したオールハザード型のBCP文書モデルを採用するなどの先進性を有し、かつBCP未策定の企業にも配慮した簡易な文書モデルも含めるなど、BCP/BCMの初心者から経験者まで広く活用できるガイドラインとなっています。

ガイドラインの策定と企業向けセミナー等を通じたその普及活動が評価され、宮城県とMS&ADホールディングスは、この3月、国連防災世界会議と併せて開催された「ジャパン・レジリエンス・アワード2015」(一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会)にて優秀賞を受賞しました。同賞は、次世代に向けたレジリエンス社会を構築するために、全国各地で開催されているレジリエンスに関する先進的な活動を発掘、評価し、表彰するもので、公的機関のガイドラインとして、はじめて本格的なオールハザード型のBCPモデルを策定し、地域の企業に対して普及を行ったことが、BCP/BCMのさらなる高度化に寄与するとして評価されました。

今後の普及啓発について、宮城県は、県内の4つの商工団体やMS&ADホールディングスとの間で協定を締結し、官民連携した取り組みを強化する体制を構築しました。具体的には、企業が円滑にBCP策定・運用を行うための、BCP策定ワークショップ、BCP/BCM関連個別相談会、DVDを使用したビジュアルな訓練などの実施を継続的に行うことが予定されています。

以上

(2015年4月9日 三友新聞掲載記事を転載)

飛嶋 順子 Yoriko Tobishima
氏名
飛嶋 順子 Yoriko Tobishima
役職
事業リスクマネジメント部 事業継続マネジメントグループ 上席コンサルタント
専門領域
事業継続(BCM/BCMS)、リスクマネジメント