コンサルタントコラム

ドライブレコーダー交通安全コンサルティングについて

所属
コンサルティング第四部 交通リスク第二グループ
役職名
マネジャー・上席コンサルタント
執筆者名
今井 敦史 Atsushi Imai

2014年2月26日

交通安全分野のリスクマネジメントにおいて、ドライブレコーダーを導入して、活用を考える企業が増えつつあります。インターリスク総研では、企業のドライブレコーダーの導入・活用について支援すべく、ドライブレコーダー・コンサルティングを実施しております。コンサルティングの内容は、加速度センサーで主に急ブレーキ・急ハンドル映像が記録されるドライブレコーダーを自動車に取り付けていただき、記録された映像を弊社で確認し、診断レポート・映像CDを作成し、ドライブレコーダー映像の社内活用方法を企業の管理者向けに、プレゼンテーションするものです。

ドライブレコーダー自体は、ビデオカメラで走行中の前方の景色を映すものであり、構造は単純なものです。事故の映像は、保険会社の過失交渉の決定的な証拠となる場合もあります。しかし、1企業では事故の頻度はわずかで、活用の機会は少ないのが実態です。

ドライブレコーダーの活用は、事故に至る一歩手前で急ハンドルや急ブレーキで回避した事例(いわゆるヒヤリハット事例)を活用すべきです。加速度センサーがついているものは、急激な加速度の変化を捉えて、その前後を映像ファイルにする機能があります。この映像を人の目で見てみると、歩行者や他の車両との接触寸前の事例や、信号での急ブレーキ、カーブでの乱暴走行の事例が収集できます。リスクマネジメント分野の経験則として、1つの大事故の陰には29件の小さな事故が発生しており、その陰には300件のヒヤリ・ハット事例が発生している(ハインリッヒの法則)と言われています。つまり、このヒヤリ・ハット事例を少なくしていくことが事故削減につながると思われます。ドライブレコーダーによるヒヤリ・ハット映像を分析し、運転者の指導に活用すれば、事故削減が可能と考えられます。自社で集めた映像は、社員が実際に走っている場所の映像であり、非常に臨場感があります。また同僚のヒヤリ・ハット事例なので、「明日は我が身」という意識が湧き、現実的な注意喚起ができます。

ただし、ドライブレコーダーの加速度センサーに反応した映像だけでは、運転者がほんとうに安全運転をしているかどうかは判断できません。信号無視や、歩行者の直近通過などには、センサーは反応しません。このような事故を防ぐには、運転者のモラル・意識改革が必要です。また、通常カメラは前方のみを撮影していますので、横や後の状況は確認できません。構内バック事故などは、実技指導による技能改善が必要です。

したがって、ドライブレコーダーは事故削減の万能薬ではなく、あくまでひとつのツールと考えられます。また、ドライブレコーダーを取り付ければ、運転者は監視されていると考え、安全運転をするのではないかと思われるかもしれませんが、その効果は通常、最初の数時間であり、ほとんどの運転者は次第にドライブレコーダーを気にしなくなり、いつもの運転にもどるようです。運転者のモラル・意識改革や技能改善を進めるには、その前提として、経営トップが全社員に本気で交通安全に取り組んでいることを告知する必要があります。その上で、集められたヒヤリ・ハット映像を、その当事者の個人指導に活用するだけではなく、企業全体の組織的・継続的交通安全活動の一つのツールとして活用すべきと思います。

以上

(2014年2月20日 三友新聞掲載記事を転載)

今井 敦史 Atsushi Imai
氏名
今井 敦史 Atsushi Imai
役職
コンサルティング第四部 交通リスク第二グループ マネジャー・上席コンサルタント
専門領域
交通事故防止コンサルティング