コンサルタントコラム

自転車事故防止について思うこと~三つ子の魂百まで~

所属
コンサルティング第四部 交通リスク第一グループ
役職名
シニアアドバイザー
執筆者名
白岩 亮 Akira Shiraiwa

2013年6月13日

歩道ですぐ横を自転車が猛スピードで通り抜けて行った時、危ないと感じたことはありませんか。車の運転中に、車道を走行している自転車が急に寄ってきて、ヒヤッとしたことはありませんか。近年、エコ意識の高まり、健康ブームの広がりなどから自転車利用者は増加傾向にあると言われていますが、その一方でマナーをわきまえない悪質な運転や自転車の重大な事故のニュース等に接する機会も増えています。自転車関連事故はここ10年をみると絶対数こそ減少しているものの(平成24年度で132,048件:警察庁資料)、交通事故全体に占める割合は約1%増加しています(同19.9%)。

昨今では、得意先企業に対する安全運転講習会において自転車の事故防止について話をして欲しいという要請も増えてきており、その対象はドライバーの対自転車事故の防止だけではなく、社員の自転車通勤途上の事故防止にまで及んでいます。

ここで注目しておきたいのは、自転車事故においては、事故全体の実に約65%が自転車側に違反が認められるという事実であり、これは自転車走行ルールの遵守意識の欠如、認識不足に起因するものと解釈されています。自転車は道路交通法上、軽車両と位置づけられており、車道走行の原則も含め、自転車走行はすべてこの法律に則ったものでなければならないということをあらためて再認識する必要があります。自転車事故の約8割は被害事故ですが、一方で自転車対歩行者のいわゆる自転車の加害事故も増加の傾向にあり(平成24年度は10年前の約1.3倍)、高額賠償例も見られ、昨今の関心事となっています。

自転車の事故防止についての効果的な解決策はあるでしょうか。平成23年10月に警察庁から「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」という通達が出されていますが、その中の主な対策のなかで、二つの点に触れてみたいと思います。

先ず、「自転車専用の走行空間の整備」についてですが、この中では自転車専用道路の整備が最も効果的かつ確実な方策であり、国土交通省はニーズの高まりを背景に平成22年から自転車道路(自転車専用道路、自転車レーン等)の集中的整備を打ち出しています。しかし、現状は自動車や歩行者から「分離」された自転車にとっての快適な通行空間(自転車専用道路)は約3,000キロに留まっており(国内で自転車が走行できる道路は約80,000キロ)、自転車先進国と言われている欧州諸国におけるオランダの約35,000キロ(自転車道)、ドイツの約70,000キロ(自転車専用長距離道路)、フランスは自治体ごとに自転車専用道の整備が実施されており、パリの約400キロ(将来的には600キロが目標)と比べると、まだまだ少ない現状にあります。日本では、各自治体も含めて取組みが進められていますが、スペースの確保の問題等もあり長期的課題といわざるを得ない状況となっています。次に、「自転車利用者に対するルールの周知」という点では、自転車安全の学校教育への組込みをより一層推進することが重要ではないでしょうか。将来の自転車社会を担うであろう子供たちに小さい頃から自転車に関する交通ルールを学校や家庭で大人が模範をもってしっかりと教えていくことがなによりも大切なのではと思います。「三つ子の魂百まで」とは、もともと子供の頃の性格は大人になっても変わらないという意味ですが、子供の頃にしっかりと身につけたことは大人になっても忘れないということではないでしょうか。

以上

(2013年6月6日 三友新聞掲載記事を転載)

白岩 亮 Akira Shiraiwa
氏名
白岩 亮 Akira Shiraiwa
役職
コンサルティング第四部 交通リスク第一グループ シニアアドバイザー
専門領域
交通事故防止コンサルティング