コンサルタントコラム

来るべき不確実性時代と人財活用によるリスク対応

所属
研究開発部 事業開発チーム
役職名
チームリーダー
執筆者名
高尾 和俊 Kazutoshi Takao

2012年2月20日

昨今の世界を巻き込んだあらゆる災害・経済危機はすでに「対岸の火事」ではなく、私たちの職場・生活も先行き不透明感の雰囲気が漂う「不確実性の時代」の再来の様相を呈してきた。

安全、品質、開発力、技術力等信頼性の高いサービス・製品を世に提供してきたまさにジャパンブランドも、ガラパゴス化からの脱却のために世界基準での「ヒト」「モノ」「カネ」を取り巻く海外競争力といった連続するうねりの中で揺らぎ始めている。

その中で「ヒト」は、今後確実に迎える「高」少子高齢化時代において、産業や規模にかかわらず人材の能力開発や活性化とともに、様々な人材を広く活用し組織としての最高のパフォーマンスを発揮するためにはダイバーシティ(人材多様性)対応は必須となっている。

東日本大震災という風化させてはならない歴史的大惨事では、「自分たちの団結力」、「普段では見られない能力の発揮」等、シナリオのない、そしてマニュアル通りでいかない先の見えない状況の中で、自ら活用できるリソースを駆使して、その組織の底力を発揮できたことを忘れていないだろうか。

私たちは考えて行動し、その時おかれている状況・環境下で最良な方法を選択し、結果を出していく力を業績向上力と危機対応力のある「従業員力」と呼んでいる。

これらには、経営による支援も必要ではあるが、主として組織に内在する一体感・目標の共有・相互理解・役割機能等による組織運営がどのように行われ、個々がどのように機能しているかを図るものである。

最近実施した従業員のワークモチベーションに関しての当社調査では、行動に影響を与える要因として、「会社の方向性」「有意義な職務」に加え、「納得感・達成感」と言った内面的報酬を求める傾向が見られることがわかっている。会社のビジョンや計画等、人に動機付けを行う経営からのメッセージだけでなく、役職員間の対話を通じ会社のミッションに個々が参画している、また、ミッションの中に自己の存在価値を見出せると当事者意識の高まりによって行動がより活性化・活発化されることが大切と考えているようだ。

さらに具現化のために「未来予想図」が必要となってくる。目標達成のためのシナリオプランの先にあるもので、組織内でWin-Winの関係に期待が持てるものでなくては、個々のみならず、チームのモチベーションも機能しない。ダイバーシティ対応において、先ほどの対話を十分に行いながら、様々な価値観や考えが共有され、協働できるテーマであるかの観点も忘れてはならない。

危機管理力の差は、組織と個人の持つ潜在能力をどう引き出し、機能させるか、また、情報収集ならびに現場の判断へのマネジメントの責任担当能力にあるといえるが、これはリスクマネジメントに限った話ではない。

グローバリゼーションが進んだ昨今では、常に地球上のどこかで起こりうるさまざまなリスク対応のための危機管理を念頭に置いたマネジメントを考えなければならず、タレント・ナレッジ・スキルのいずれの情報も確実に把握するシステムと、責任や権限を含む柔軟な組織運営をどう可能ならしめるか手腕が問われることになる。管理のためのシステム導入や強化に目が行きがちであるが、善きにも悪きにも動く「ヒト」に、より焦点を当てる時が来ていると感じる。言い古されているが、「仏に魂がなくては」である。

以上

(2012年2月16日 三友新聞掲載記事を転載)

高尾 和俊 Kazutoshi Takao
氏名
高尾 和俊 Kazutoshi Takao
役職
研究開発部 事業開発チーム チームリーダー
専門領域
戦略的人的資源管理、人財開発、組織行動・風土改革、安全文化構築