コンサルタントコラム

中国の現場で感じること...

所属
インターリスク・上海
役職名
総経理
執筆者名
海司 昌弘 Masahiro Kaishi

2011年12月6日

私自身、中国に赴任し、まもなく6年になる。主な業務として、日系企業を中心とするお客様の工場や倉庫等事業場に出向き、火災、自然災害、労働災害、盗難等のリスク対策について、第三者視点から様々なアドバイスをさせて頂いている。そこで今回は、お客様企業を見て感じることを少しご紹介してみたい。

先ずもって感じることは、現地法人は小さい組織であっても一つの事業体であり、そこで皆さんが、一人何役もの責任体制の中、専門外の事項も数多く所管し、非常に苦労を重ねている点である。

具体的には、日本では、専門部署による分業体制の中で、専門分野に邁進されてきた方が、駐在するやいなや、限られた人数での経営管理体制の中、専門外の分野も数多く所管することになる。例えば、財務畑の方が、工場の安全、環境保全といったことまで所管されている。また、システム依存度が日増しに高まっているが、システム担当の駐在員が派遣されず、システム管理責任者の立場に就かれている方もいる。

重ね、そこには、沢山の現地スタッフが存在し、責任者の立場として見られる緊張感等も存在する。日本では、終身雇用が一般的な概念だが、当地においては、全くもってその逆である。転職=自らのキャリアアップで、少しも珍しいことではない。安定操業のために、会社へのロイヤリティを持った永年勤続者が欲しい一方、なかなか思うように優秀人材が定着しないといった課題に、絶えず悩まされている経営者、管理者はかなり多いと思われる。

またコミュニケーション障害も問題の根は深いと思われる。元来、異文化環境の中、「あうんの呼吸」と言ったものは、多くを期待できない。そうであれば、なお更ダイレクトなコミュニケーションが求められるが、現実的に旨く行っている事例は少ないと思われる。語学力の問題だけでは、コミュニケーションは解決できないと考えるが、喋れないと言いたい事は伝わらない。通訳も効果的ではあるが、これらの問題を完全に払拭することは難しい。企業によっては、語学研修生制度を設け、現地で語学を一定期間先行学習し、その後ビジネスの実践に就くと言った対応をしている先も少なくない。一方、外務省の海外在留邦人数調査を見ても、中国全土での在留邦人数は、2000年46,090人だったのに対し、2010年では、131,534人と、10年で約2.9倍となっており、人材の投資と言った意味でも、急展開を見せており、語学研修で十分な語学スキルを備えて…という環境ではなく、言葉を二の次にして即現場にといった状況が、刻々迫っていることもお分かり頂けるかと思う。

こういった体制の中、日本(本社)からの十分な支援はというと、現地の方々が「十分!」と満足しているケースは必ずしも多くないように感じることが多い。かねてより、よく現地の方々の間では、「OKY:お前、来て、やってみろ(の頭文字)」という言葉があり、表現は少し乱暴ではあるが現地の方々が日本(本社)に対し「もっとわかってもらいたい」、「もっと踏み込んで支援してもらいたい」と思っている現状が示されていると思う。

ビジネスの拡大に、中国は欠かせないと言われる中、現地と日本(本社)が、真に一体となったグローバル経営が進むことを切に期待したい。

以上

(2011年12月1日 三友新聞掲載記事を転載)

海司 昌弘 Masahiro Kaishi
氏名
海司 昌弘 Masahiro Kaishi
役職
インターリスク・上海 総経理
専門領域
事業場における防災・安全管理