コンサルタントコラム

運輸安全マネジメント制度の最新動向

所属
コンサルティング第四部
役職名
主任コンサルタント
執筆者名
梶浦 勉 Tsutomu Kajiura

2010年04月22日

大手運輸事業者を中心に定着した感のある運輸安全マネジメント制度は、今年の10月で制度開始から、早4周年目を迎えようとしている。
 国土交通省では、現在同制度のさらなる浸透・定着のため、評価未実施事業者に対する1回目評価の早期実施が必要と考えている。昨年11月開催「運輸事業の安全に関するシンポジウム2009」では、全ての運輸事業者につき平成24年度末を目途に1回は運輸安全マネジメント評価を終える予定であることが発表されている。
 今後、急激な推進が図られると思われる中小事業者への浸透・定着の動きに注目したい。

まず最新の動向のひとつとして「安全管理規程に係る報告徴収等の実施に係る基本的な方針」の改正が挙げられる。同改正の中で、平成18年4月策定の「安全管理規程に係るガイドライン」の内容等が見直されており、改正ポイントとして、次の3つが挙げられる。

  1. 従来は事業者が作成する安全管理規程に記載する項目とその考え方、および各原局(自動車交通局、海事局、航空局)が安全管理規程に係る省令、通達を制定するためのガイドラインといった位置付けであったが、今回は事業者における安全管理体制の構築・改善に係る取組のねらいとその進め方の参考例を示すものへと変更された。
  2. 取組み途上の事業者が多く見受けられる「安全重点施策」、「事故情報等の収集及び活用」、「内部監査」などの進め方等を詳細に規定し、具体的な安全管理の取組事例の記載例「安全管理の取組事例集」が添付されている。
  3. 用語・表現等の修正がされている。従来はISOで定義されている用語(例えば「コミットメント」、「~を確実にする」、「態勢」など)が多く使用されていたが、"コミットメント"は"主体的な関与"など事業者に判りやすい用語・表現に修正されている。 全体を通じて事業者にとって判りやすいガイドラインとなっていることが特徴である。

また、国土交通省では中小事業者の運輸安全マネジメント制度への対応を支援する施策も展開している。
ひとつには運輸安全パイロット事業創設が挙げられる。この事業は、主として中小事業者を対象に実施するもので、これまで大手事業者しかできなかった先進的な運輸安全対策を中小事業者が共同して実施する事例、または新たな発想に基づく安全対策事例等に対して、国交省が支援を行うものである。事業結果は公表され、優良な結果を出した事業を全国の事業者に展開することで、さらなる安全活動の推進に役立てて行こうとするものである。
 また、本年4月には運輸安全取組事例紹介サイトの本格運用も始まっており、運輸安全情報発信の充実や安全マネジメント態勢を構築する上で参考となる事例の提供を積極的に行っている。優良事例の収集・提供に関しては、事業者団体等の活用を含め今後展開が進むことが予想される。

最後に、平成24年度末までにどのように全国の運輸事業者に対して運輸安全マネジメント評価を実施していくかという課題に対し、その解決施策として国土交通省は地方局への評価事業の展開や、第三者認証の活用による評価等の検討を進めている。

この大きな課題をクリアした後にも国土交通省には制度の継続的改善、事業者が継続的に取組むためのインセンティブの付与等、課題は残っており、今後も運輸安全マネジメント制度の動向から目を離せないところである。

以上

(2010年4月15日 三友新聞掲載記事を転載)

梶浦 勉 Tsutomu Kajiura
氏名
梶浦 勉 Tsutomu Kajiura
役職
コンサルティング第四部 主任コンサルタント
専門領域
運輸事業の安全管理体制構築、システムリスクソリューション全般