コンサルタントコラム

待ったなし!企業の新型インフルエンザ対策~まだ見ぬ“脅威”に備える企業が勝つ~

所属
研究開発部
役職名
研究開発部長 主席コンサルタント
東京医科歯科大学大学院 非常勤講師
執筆者名
本田 茂樹 Shigeki Honda

2009年2月18日

企業における新型インフルエンザ対策が喫緊の課題と言われるようになって久しいが、実際、企業が対策構築に手をつけてみると、従来の危機管理の考え方だけでは通用しないなど様々な課題に直面する。ここでは、企業が新型インフルエンザ対策を進めるにあたり留意しておくべきポイントを三つ示す。

1.重要業務の特定のため、流行時の需要変化を予測する

新型インフルエンザの流行時、興行施設など不特定多数の人が集まる場所や機会を提供している事業者については、事業活動の自粛要請がない場合でも利用客の大幅な減少が予測される。一方、外出自粛や在宅勤務体制への移行等により、電話やインターネットの通信需要が増加するとともに、宅配や通信販売等に対する需要も大幅に増加すると見込まれる。事業者は、消費者のニーズ、事業活動を継続した場合の従業員の感染リスクなどを総合的に判断し、重要業務を特定することが必要となる。

2.「やること」と「やらないこと」を決める

厚生労働省から出されている、「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」には、業務を継続する上で必要となる多様な感染防止策が示されている。マスクの着用や手洗いの励行など、すべての事業者に共通して実行するべきこともあるが、事業者によっては優先順位の低いものも含まれている。それが個々の事業者の対策として有効かどうかを検討し、「やること」と「やらないこと」を決めておくことが重要である。

新型インフルエンザの流行時には、多数の従業員が欠勤する恐れがあるので、限られた人員で感染防止策を行わねばならないことも踏まえて、「やること」を決めるとよい。

3.リスクコミュニケーションを大切にする

新型インフルエンザ対策としてどのような感染防止策をとるか、またどの事業を継続、縮小、そして休止するのかなどの内容は、国内で感染者がでてから従業員や取引先に伝えたのでは遅い。感染防止策や事業継続計画は、その詳細を関係者全員が理解してこそ、的確に実行できるものであるから、今、未発生期の段階で周知徹底することが非常に重要である。

また海外から日本人駐在員を帰国させるという計画であれば、現地の従業員に対し、事前にその方針について十分な説明を行っておくとともに、駐在員が不在である期間の対応についても整備しておくことが大切である。新型インフルエンザの流行とともに、日本人駐在員が帰国することで、その後の現地従業員との関係が悪化することがあってはならない。

企業の新型インフルエンザ対策は、待ったなしであり、まさに危機管理の問題として十分認識した上で、行動することが求められている。

以上

(2009年2月12日 三友新聞掲載記事を転載)

本田 茂樹 Shigeki Honda
氏名
本田 茂樹 Shigeki Honda
役職
研究開発部長 主席コンサルタント
東京医科歯科大学大学院 非常勤講師
専門領域
医療・福祉分野におけるリスクマネジメントおよび社会制度に関する調査研究、コンサルティングに従事。企業における新型インフルエンザ対策について、危機管理、事業継続経営の観点から具体的な提言を行っている。