コンサルタントコラム

企業におけるモチベーション向上策の活用~企業価値の向上に向けて~

所属
コンサルティング第一部 自動車SCM室
役職名
サプライチェーンRMチームリーダー 上席コンサルタント
執筆者名
高尾 和俊 Kazutoshi Takao

2008年12月3日

1. はじめに

企業はそれぞれに多種多様な風土や文化を持っている。その企業風土・企業文化は、社是や社訓、慣例や習慣、経営計画やビジョンならびに職場のルールや行動規範等に明文化され、行動として表れてくる。その範疇の中で、社員個人は、組織としてまたは個人としての自己実現や目標達成へのプロセスを、個々の役割で実行していくことになる。

しかしながら、近年における経営環境の劇的な変化は、前述した組織行動のセオリーにも影響を与えつつある。従来は独自の企業風土・文化が強く社内の隅々までに浸透している企業は強いと言われていたが、社会との対話・融和が重視され、また社員個人の価値観の世代間格差が広がる昨今では、環境変化への柔軟な対応が可能な企業風土・文化も兼ね備えていく必要がある。

本稿では、近年注目を浴びている、従業員個人に対する「動機付け」(以下、「モチベーション」という)にスポットを当て、モチベーション向上策が企業風土の変革にどのように作用するのか、モチベーション向上のポイントはどこにあるのかなどについて、筆者の見解を述べてみたい。

2. モチベーションと企業風土

当社にて、企業風土・文化とモチベーションに関する意識調査を行ったところ、30歳代の層が他の世代に比べモチベーションが低い傾向があり、また、将来に対する先行き不安をかかえているケースが多いことが分かった。その原因としては、価値観が多様化する中では特定しづらい面があるが、多くの意見として寄せられるのは「会社のビジョンや方向性が見えない」、あるいは「自分のキャリアプランがイメージできないといった」コメントである。

このような状況を打開するために社内対話を重視し、オフサイトミーティングを活用したトップダウンによるコミットメントや、ボトムアップ型の対話参画という方法が一般的には取られている。しかしながらその活用が思いのほか効果が上がらない企業も多いようである。それはトップのコミットメントが強すぎて一方的なものとなったり、各自の意見が多数出て集約されない、またはフィードバックがない等といったことに陥りがちとなるためである。

オフサイトミーティングの活用を効果的にし、モチベーションを向上させることは、企業としての組織の活性化や安全性・生産性の向上など、より一層企業価値を高めることにつながる。その結果、独自文化と適合的文化の融合により、新たな企業風土文化の組成へと進展していく可能性が出てくるのである。

3. モチベーションの向上に必要な3要件

企業全体やその細分化されたチーム単位の組織において、モチベーションをセルフマネジメントしていくことができるかどうかは、その組織と個人のパフォーマンスの高さという形で表面化する。モチベーションの高さは企業風土・文化および個人のセンス等多くの要素が相互に作用する複雑なプロセスの結果であるが、次の3つの要件を理解し、PDCAサイクルでの運用がなされればセルフマネジメントされた良質なモチベーションを企業活力の推進役として活用することが可能となる。

  1. モチベーションから発するエネルギーの出し加減を調整する。(守りから攻めへ)
  2. モチベーションのエネルギーをどこに集中させるかの方向性を示す。(目標設定と進捗管理)
  3. 上記2つの要件の行動として表れるプロセスと結果を評価という形で持続性のあるものとする。

4. おわりに

企業活動において成長というキーワードは必須項目であるが、モチベーションは欲求が行動を方向付けるという単純なものではなく、それぞれの置かれた環境や過去の経験等が行動を決定付けると考えた方がよい。そのため、リスク回避を基本に考えるモチベーションをチャレンジ行動に向かわせ、目標達成へのプロセスへと軌道に乗せるマネジメント層の調整機能の能力が問われる。

社内に、経営トップの積極的な関与を前提としたモチベーションを観察する部署を設置し、かつセクショナリズムを排したクロスファンクション機能とした上で、社内風土・文化と社内モチベーションの関係を定期的にチェックし、パフォーマンスの出力を十分に上げられる体制作りが求められる。そしてモチベーションの高さが企業として目指す方向性に対する社外へのメッセージへと進化していくこととなれば企業ブランド向上にも良い影響を与えることになる。

 

以上

(2008年11月27日三友新聞掲載記事を転載)

高尾 和俊 Kazutoshi Takao
氏名
高尾 和俊 Kazutoshi Takao
役職
コンサルティング第一部 自動車SCM室
サプライチェーンRMチームリーダー 上席コンサルタント
専門領域
医療・福祉介護安全、品質管理(サービス業)、教育プログラム構築
ISO9001:2000審査員補
実績
各種医療福祉介護施設リスクマネジメントアドバイザー、医師会・看護協会でのリスクマネジメントに関する講演会多数。
シュミレーションを活用した安全教育に関する社内プログラムの構築等