コンサルタントコラム

台風災害と企業の対策

役職名
コンサルティング第二部 災害リスクチーム
上席コンサルタント
執筆者名
関口 祐輔 Yusuke Sekiguchi

2008年10月2日

さわやかな10月は、多くの企業では運動会などの屋外行事を催す季節だが、また、毎日の天気予報が気になる台風の季節でもある。
台風は、毎年と言ってよいほど風災、洪水、土砂災害、高潮、高波といった自然災害を全国の至るところで発生させている。
台風は平均して年間27個発生し、その内日本への上陸は平均3個、接近は平均11個となっている。過去46年間の台風災害の推移を見ると、1960年代には死者・行方不明者、負傷者、住宅損壊、住家浸水等で大きな被害をもたらした。被害を拡大させた大きな要因は台風に対する災害対策が十分でなかったことが挙げられ、その後、行政等の災害対策の向上により、1970年代から1991年までの被害は1960年代と比較すると半分以下にまで減少した。
1991年9月に発生した台風19号は全国で死傷者1,323名、住宅損壊数68万棟、停電戸数740万戸という未曾有の被害をもたらした。人的被害の約4割を占めた原因は強風が吹き荒れたことによる飛散物・落下物によるものであり、次に建物の倒壊、強風による転倒・転落によるものであった。中でも、広島では最大瞬間風速58.9m/s(ほとんどの木造家屋は倒壊し、鉄塔が曲がることもある)を記録し、最大潮位2.9mの高潮を発生させた。
また、台風19号は日本の保険史上、最大の保険金支払いが生じ、世界でもトップクラスに入る5,679億円が支払われた。近年における高額の保険金支払いは、2004年の台風18号が約3,874億円、2006年の台風13号が1,320億円となっている。
なお、最近の研究では、地球温暖化により熱帯の大気構造が安定するため、渦が出来にくくなり台風の発生数自体は減少するものの、勢力の強い台風が増え、最大風速・降水量とも増加するという予測も報告されている。このため、今後発生する台風災害の規模が、上記で紹介した台風と同等もしくはそれ以上となる可能性は十分にありうる。
台風は自然に発生するものであり、これを抑制することは不可能である。故に自己防衛することが求められる。
台風災害に対する企業の災害対策組織の充実及び緊急時の対応計画の策定においては、有事の際、確実に機能するということが被害を軽減させる上で非常に重要である。
地球温暖化や異常気象という言葉が頻繁に唱えられている中、局地的な集中豪雨や突風・竜巻が非常に高い頻度で発生している。過去に発生頻度が低かった事象が増加傾向にあるということは、過去に想定されていなかった被害が起こり得る可能性を有している。
従って、今後発生する台風の被害は過去に想定された被害とは異なり、予想外の大災害が発生することを前提に災害対策を立てる必要がある。過去の経験則では無く、改めて自社の災害リスクの洗い出しを実施することが必要である。各企業が所在している地域の近年における気象変化の動向や日常の気象情報等を木目細かく収集・分析した上で、先ずはは緊急時における対策を定め、これを定期的に見直すことが重要である。

以上

(2008年9月25日三友新聞掲載記事に加筆修正)

氏名
関口 祐輔 Yusuke Sekiguchi
役職
コンサルティング第二部 災害リスクチーム
上席コンサルタント
専門領域
火災リスク・自然災害リスク(地震・水災他)、これから災害に付随して発生する事業中断リスク