コンサルタントコラム

企業のリスクマネジメント取り組みの拡大~インナーからアウターへ~

役職名
コンサルティング第二部 BCMチーム 上席コンサルタント
執筆者名
古池 祥蔵 Shouzou Koike

ここ数年、企業の事故・不祥事が頻発しており、企業のリスクマネジメント取り組みへの注目が高まっている。今年に入ってからも、中越沖地震での自動車部品メーカーの操業停止に伴う自動車メーカー各社の操業停止、ICカード乗車券を利用した改札機のプログラムの不具合による改札機の停止、ファーストフード大手やコンビニエンスストア大手の店舗における賞味期限切れ商品の販売、食肉加工卸会社の食肉偽装を原因とした食品大手、小売大手での偽装肉を利用した食品の販売等が発生しており、いずれのケースも社会に大きな影響を与えている。

これら事故には、

“ミス・事故・不祥事を起こした当事者だけでなく、その取引先やグループ会社も大きな影響を受けている。"

という共通点が見られる。

大災害・大事故の発生や法制度の整備に伴い、大企業を中心にリスクマネジメントへの取り組みが定着し始めている。しかし、一方で、その取り組みの対象は、社内の管理体制の強化や社内不祥事の防止、社内の危機管理体制の整備等自社内に目を向けた取り組みが中心であり、社外に目を向けた取り組みが遅れている。前述のような事故が発生するのはこうした背景があると考えられる。
企業のリスクマネジメントの取り組みは、自社内に対する取り組みにとどまらず、取引先・グループ会社等の自社に関係する企業に対する取り組み(各社のリスクマネジメント取り組みの状況把握、各社と連携した取り組みの推進体制)も推進することが必要である。それを怠ると、自社以外の企業のミス・事故・不祥事が発生した際に、その影響範囲、影響度を見誤ったり、対外的に説明ができないことになるばかりか、想像以上に大きな損害を被ることになる。
特に、一つの完成品の生産に、数十、数百の部品・材料が必要な製造業、多くのテナント・関係業者により成り立っている流通業、下請け・孫請けへの業務委託で成り立っているIT関連業、フランチャイズ展開をしている小売業・飲食業等は、一つの事業にかかわる企業が多く、企業相互の依存度が高いため、各社が連携してリスクマネジメント取り組みを推進する必要があり、その対応が不十分だと、事故も起きやすく、万一事故が発生した場合に被害が拡大する可能性が高いと思われる。
そのため、これらの業態をリードする企業は、関係各社のリスクマネジメントの取り組みの現状を把握し、必要に応じて指導的な役割を担うことが求められる。

今後は、リスクマネジメントの取り組みに行き詰っている企業、リスクマネジメント取り組みをこれから推進する企業にとっては、企業のインナー(自社内)のみならずアウター(社外の関係する企業)のリスクマネジメント取り組みについても目をむけ、自社にかかわる取引先・グループ会社によるミス・事故・不祥事を予防するとともに、万一発生した場合も関係各社全体の損害を最小限に抑えるような取り組みを推進することが望まれる。
その第一歩として、自社にかかわる取引先・グループ会社におけるリスクマネジメント取り組みの現状を把握するから始めてはどうだろうか。

以上

氏名
古池 祥蔵 Shouzou Koike
役職
コンサルティング第二部 BCMチーム 上席コンサルタント
専門領域
BCM(事業継続マネジメント)プログラムの設計と運営
情報セキュリティ・個人情報保護マネジメント・プログラムの設計と運営