コンサルタントコラム

震災後のライフラインについて

役職名
災害リスク部 コンサルタント
執筆者名
下平 庸晴 Tsuneharu Shimodaira

震災によって受ける被害には、建築物などに与える直接的なものとライフライン等の中断による間接的なものがある。ライフラインの復旧状況は、企業の事業再開および家庭の生活環境復元に大きな影響を与える。ライフラインには電気・ガス・水道が挙げられるが、震災後の復旧までの期間にはそれぞれかなりの時間差が生じることが明らかになっている。

たとえば、過去の地震(兵庫県南部地震や2004年新潟中越地震)におけるライフラインは、電気については1~2週間程度、LPガスについては2~3週間程度の期間でおおよそ復旧している。しかし、都市ガス・上水道については、地中配管であることや、特に都市ガスでは供給しているすべての住居等への枝管をも点検する必要があったことなどから復旧には数ヶ月を要した。一方、内閣府と東京都から、東京湾北部地震が発生した際のライフラインに関する目標復旧日数が公表されており、その報告においては、電気は1~2週間、上水道は1ヶ月程度、ガスは2ヶ月弱の期間が見込まれている。ガス・上水道の復旧が遅くなる点では、兵庫県南部地震、新潟中越地震の復旧期間と同様の傾向がある。

復旧方法において、上水道は、飲料水の場合、タンク輸送での代替が可能だが、都市ガスの場合、用途が一般家庭の調理用熱源であれば、カセットコンロ等である程度代替することができるものの、規模の大きな施設の暖房・冷房などにガスを使用している場合には、代替が困難であると考えられる。

たとえば、図書館の冷房にガスが使用されており、2007年7月の新潟県中越沖地震では、被災後に真夏を迎えているが、空調の復旧は遅れていると報告されている。
コンピュータールームにおいて空調にガスを使用していれば、電気が復旧したとしても都市ガス中断によるコンピュータールームの冷房不能により、コンピューターの再稼動が、期待していた日より遅れることがあろう。このような場合に対処するため、病院や福祉施設など人命を与る施設においては、早期入手が比較的容易なLPガスを使用できるように、LPガスを都市ガスに変換する装置を設置するなど対策を講じているケースもある。

一般家庭と異なり、ガス冷房を大規模な冷房設備として使用する企業等では、このように早期復旧が果たせない可能性がある。
ライフラインの復旧の傾向を考慮して対策を立てることも重要であると考える。

以上

氏名
下平 庸晴 Tsuneharu Shimodaira
役職
災害リスク部 コンサルタント