コンサルタントコラム

着実に、しっかりと作っていこうBCP/BCM

役職名
コンサルティング第二部 BCMチーム 上席コンサルタント
執筆者名
藤田 亮 Ryo Fujita

企業のBCP/BCMへの取り組みは、未だ熱が冷める気配は感じられない。大手企業だけでなく、地域を構成する中堅~中小企業においても、相互補完的に事業復旧を行えるよう自治体主導で地域版BCPを策定する動きも出てきている。また、日本政策投資銀行や一部の地方金融機関では、企業のBCP/BCMや防災への取組みを審査したうえで、貸出金利を引き下げ、BCP策定のインセンティブとして働くようなスキームを開発している例も見られる。更に、金融庁検査では、事業継続への取組を従来にも増して重点的に検査・評価していると言われる。世界の動きを見ると、国際標準化機構(ISO)では、米/英/日/イスラエル等がISO化へ向けた検討を行っており、2008年度以降のISO化が見込まれている。
BCP/BCMに関るこのような最近の動きは、BCP/BCMに未着手の企業に焦りを感じさせるには充分であろう。

一方で、コンサルで接する、経企部/リスク管理部/総務部といった、企業のリスクマネジメントを統括する部門は、非常に多忙な状況にあるというのが現実で、BCP/BCMだけに時間をさいてはいられない。内部統制、情報セキュリティ、更にはCSR等の観点からの取組みが目白押しである。限られた人員や時間やコストの制約があるなかで、「何から先に取組めばいいのか?後回しにしていいのはどれ?」という疑問が湧くのは当然だ。

現状、企業が最も力を入れているのは、内部統制態勢の構築であろう。2008年4月には金融商品取引法の内部統制関連部分の施行を控えているからだ。これに間に合わそうと、多くの企業が業務フローチャートや統制シート等の文書化作業をいそいそと行っている。ただし、内部統制の真髄であるべき、トップの倫理的価値観の内外への表明や企業理念の社員への浸透、社員への継続的な教育、末端からのリスク情報の収集、社内でのコミュニケーション活性化など、最も重要で本質的な部分が忘れ去られている可能性がある。施行に間に合うように、形式だけを追っているのだとしたら、全く意味がない。内部統制体制の構築は、固有のethical valueをその企業の隅々にまで脈々と流れさせることが本質であり、金融商品取引法対応はその入れ物に過ぎない。

内部統制と異なり、幸いにも、「BCP/BCM策定法」という法律はない。2008年以降に予定される国際標準化も第三者認証基準とはならない可能性もある。
よって、時間はたっぷりある。焦る必要はない。本当に中身のある、BCP/BCMを時間をかけて作っていけばいいのである。形だけのBCP/BCMは、百害あって一利なしだ。そして、最初から100%を盛り込もうとする必要もない。初年度は、全体計画の20%、30%から始めるというのでもいい。1年ごとにブラッシュアップし、3年~4年をかけて、序々にクオリティを上げ、スコープを拡大していけばいいのだ。
BCP/BCMの重要なポイントは、それが、「企業文化として根付くこと(Embedding BCM in the organization's culture」である。BCP/BCMはその企業の隅々にまでしっかりと根付いたcultureとなる必要がある。それは充分に時間をかけることでしか達成出来ないものだと思う。

以上

氏名
藤田 亮 Ryo Fujita
役職
コンサルティング第二部 BCMチーム 上席コンサルタント
専門領域
BCM/ERM/内部統制/米国会計
実績
建設業、倉庫業、航空業、金融機関等
講演
「ERM概説」(立命館大学)
「COSO・COSOII・RMの相互関連性について」(日本リスクマネジメント協会)等