コンサルタントコラム

企業の環境取組は今後どうなっていくのか

役職名
法務・環境部 コンサルタント
執筆者名
星野 公平 Hoshino Kohei

1996年の環境マネジメントシステムに関する国際規格ISO14001の発行(2004年改定)から10年以上が経った。製造業よりも比較的環境への関心が低い傾向にあった非製造業においても、昨今では「企業の環境取組=紙・ゴミ・電気」の方程式から脱却して、事業そのものの中で環境の視点を取り入れるなど、環境取組に積極的な企業が多く存在するようになった。

このような状況から、日本企業における環境取組の土台は概ね整ったといえるだろう。土台の整った企業の環境取組は、今後どのような展開をみせるのだろうか。その答えを探る前に、昨今の環境関連のエピソードを2つの紹介しよう。

エピソード1

先日、エコプロダクツ2006にて、屋上緑化に関するセミナー(主催:三井住友海上火災、共催:エコアセット・コンソーシアム)を開催したところ、会場の定員(100名)を超えて、立ち見がでるほどの盛況ぶりであった。

エコアセット・コンソーシアム:インターリスク総研、住友林業緑化、鹿島建設、国際航業が連携して緑地資産活用コンサルティングサービスを展開している。(http://www.eco-asset.jp

エピソード2

2006年12月に東京都は「10年後の東京~東京が変わる~」という政策を発表した。
これは2016年に開催されるオリンピックを、東京に招致することを狙った政策であるが、この政策の中は、「水と緑の回廊で包まれた、美しいまち東京を復活させる」等、環境への取組が数多く盛り込まれた内容となっている。

これらのエピソードから、今後の企業における環境取組の展開先の一つに「緑化」があると推測することができる。

実際、緑地資産活用のコンサルティングサービスを展開している、エコアセットへの関心も高まりを感じている。
エコアセットの主な目的は、企業緑地のCSR資産化の支援をすることである。固定資産税だけを払って塩漬けにされている企業の緑地を様々な視点から"見える化"し、その価値を最大限に引き出すことにより、環境保全を通じた企業ブランドの向上などを支援する。

最近は、緑地活用のニーズにも変化が表れ、「環境教育の場」としての活用だけでなく、「クリエイティビティ(社員の創造性向上)」や「優良な人材の確保」のツールとしての活用に期待をよせる企業が増えてきている。

今後企業は、少子化の影響により優秀な人材の確保が困難になってくるだろう。現時点において、経営層は緑化を「財務価値とは関係のないボランティアとしての緑化」と位置づけて、消極的な態度をとるケースが少なくないが、「魅力的な企業のPRに効果を発揮する緑化」という視点に立つなど、視野を広げて積極的に緑化に取組んでもらいたい。

企業の環境保全活動で最近よく耳にする言葉に、「ビオトープ」や「屋上・壁面緑化」などがある。企業には、この活動をブームだけで終わらせずに、継続的に環境保全に取組んでいくことを期待している。
当然のことであるが、全ての活動は、そのフィールドである地球が存在しないことには成立しない。「地球あっての企業」「地球あっての経済」「地球あっての人間」であることを各人が忘れることがなければ、環境保全活動の輪は様々な分野へと広がりを見せるだろう。

個人的には今後、「企業の環境」という枠にとらわれず、地球規模で環境保全に繋がるようなビジネスの展開を模索している。

以上

氏名
星野 公平 Hoshino Kohei
役職
法務・環境部 コンサルタント
専門領域
企業緑地・土壌・地下水汚染・環境リスクマネジメント・CSR、他
実績
漏洩土壌の経時的変化に関する検討、緑地評価システムの研究、企業緑地の活用戦略コンサルティング