リスク情報・レポート

リスク情報・レポート / 人的資本・健康経営インフォメーション

2024.03.01

健康経営の推進におけるメンタルヘルス不調者低減の取り組み

要旨

  • 昨今、健康経営の実践においては、業務パフォーマンス指標(アブセンティーイズム、プレゼンティーイズム、ワークエンゲイジメント)の評価・分析が注目されているが、これらの指標の改善には、メンタルヘルス対策が不可欠な要素となる。
  • メンタルヘルス対策を全社的な取り組みとするためには、健康経営における重要課題として位置づけ、経営層の関与の下で着実なPDCAサイクルを推進していくことが望まれる。
  • メンタルヘルス不調者は再発率が高い傾向にあるため、初発だけでなく再発の防止策を強化することにより、より効果的に不調者の低減が可能となる。
  • 再発防止については、特に職場復帰時における会社の方向性を明示するとともに、各関係者の役割を明確化することで、効果的な施策となる。

1.健康経営におけるメンタルヘルス

(1)健康経営の概要

2016年から始まった「健康経営優良法人認定制度」は、大規模法人3,523社、中小規模法人17,316社の申請規模まで拡大(2023年12月時点[1])しており、この制度の下、現在では多くの企業が健康経営の取り組みを進めている。

健康経営は、従業員の健康を増進させることで、企業価値向上等を目指す取り組みであり、従来より行われていた健康管理とは若干性質が異なっている。従来の健康管理では不調や病気といった状態をいかに健康な状態にしていくかが求められていたが、健康経営では、従業員一人一人がイキイキと働き、意欲や生産性を高められるような取り組みを行っていくことが重要となる。

(2)健康経営の「健康」とメンタルヘルスの位置づけ

健康経営における「健康」は、身体的健康、精神的健康、社会的健康※1の「3つの健康」で構成される。各企業は、「3つの健康」を充実させるアプローチを行うことで、従業員がイキイキと働き続けられる状態にすることが重要となる。したがって、健康経営の取り組みを進める上では、「3つの健康」のうちの一つである精神的健康、つまり従業員のメンタルヘルスの向上および充実は不可欠な要素となる。

1社会的健康...職場の良好な人間関係、働きがい、ワークライフバランスの充実等を含む

(3)健康経営優良法人認定制度におけるメンタルヘルス

メンタルヘルスは健康経営優良法人認定制度(以下、認定制度)でも課題に据えられており、多くの企業は、解決したい課題としてメンタルヘルスを選択している。また、メンタルヘルス不調者の実態把握なども健康経営度調査票における回答項目となっており、認定制度において、従業員のメンタルヘルス向上の施策は重要な取り組みの1つとして位置付けられている。

人的資本・健康経営インフォメーション(旧:健康経営インフォメーション)

人的資本、健康経営等に関する情報について紹介しています。
(A4数枚、 不定期発行)