レポート

第81号「千島海溝沿いの地震活動と事前対策」

2018.4.1

要旨

  • 国は千島海溝沿いの領域でマグニチュード9クラスの超巨大地震が発生する切迫性が高まっていることを公表した。今後は被害想定の見直し等が実施される可能性に留意する必要がある。
  • これを機に最大クラスの地震を想定した事前対策について改めて見直しを行い、情報共有と防災教育を徹底していくことが重要である。
  • 事業所用の事前対策チェックリストを作成したので、地震対策の検討に活用されたい。

1.本稿の概要

2017年12月に政府の地震調査委員会が「千島海溝沿いの地震活動の長期評価(第三版)」を公表した。この地震については、地震調査研究推進本部(以下「地震本部」)で2003年及び2004年の過去2回、長期評価が公表されており、今回13年ぶりに改訂された。これによると、北海道太平洋側の十勝沖から択捉島沖までを含む千島海溝沿いの領域で、マグニチュード(M)9クラスの超巨大地震の発生確率が7~40%(今後30年間)と切迫性が高いことが示された。M9クラスの超巨大地震とは、例えば南海トラフ巨大地震(最大M9クラス)や東北地方太平洋沖地震(最大Mw9.0)に匹敵する規模といえる。また、根室沖のM8クラスの巨大地震の発生確率は今後30年間で80%程度(算定基準日2018年1月1日で70%から80%に上昇)であり、十勝沖と根室沖の連動地震発生の可能性なども指摘されている。

本稿では、まず国が公表した千島海溝沿いの地震活動、次に北海道が公表した地震被害想定結果について紹介し、続いて企業・事業所における巨大地震に対する事前対策のポイントについて解説する。

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