レポート

ESGリスクトピックス 2023年度 No.11

2024.2.1

<気候変動>
COP28、ドバイにて開催 第1回グローバル・ストックテイク成果文書 公表

2023年11月30日から12月13日にかけて、アラブ首長国連邦(ドバイ)にて国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(UNFCCC-COP28、以下COP28)が開催された。

(参考情報:2023年12月13日付 UNFCCC HP
UNFCCC HP

<TNFD>
TNFD開示提言の早期採用者リスト公表 採用企業数の進捗、出足早い

2024年1月16日、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議*)において、TNFD**は開示提言の早期採用者(TNFD Early Adopters)リストを公表した。TNFDは2023年9月にTNFD開示提言の正式版を公表すると同時に、企業等に対してTNFDのウェブサイトで採用表明企業に登録することを促しており、特にダボス会議までの最初の4か月間に登録した企業を早期採用者として公表するとしていた。

(参考情報:2024年1月16日付 TNFD HP

<生物多様性>
経団連が生物多様性宣言・行動指針を改定 生物多様性への取組アンケート結果も公表

日本経済団体連合会(以下、経団連)と経団連自然保護協議会は2023年12月12日、「経団連生物多様性宣言・行動指針」を改定、公表した。経団連が生物多様性宣言・行動指針を改定するのは2018年以来5年ぶりで、2022年12月の「昆明・モントリオール生物多様性枠組み(以下、GBF)」採択、2023年3月の「生物多様性国家戦略2023-2030」閣議決定、同9月の「自然関連財務情報開示タスクフォース(以下、TNFD)」公開など、生物多様性に関する動きが活発化している昨今の情勢を踏まえた改定となっている。本改定により、企業の生物多様性保全に対する取り組みを深化させる狙いがある。

(参考情報:2023年12月12日付 日本経済団体連合会 HP

<サステナビリティ情報開示>
SASBスタンダードが改訂世界で適用可能なISSB基準対応ガイダンスに

国際会計基準財団(IFRS財団)傘下の国際サステナビリティ基準審査会(ISSB)は12月19日、サステナビリティ情報開示の主要な国際基準SASBスタンダードの改訂を公表した。今回の改訂は、企業等が基準に対応したサステナビリティ情報開示をするため、世界で適用な可能なガイダンスにするのが目的。

(参考情報:2024年12月19日付 IFRS HP

<気候変動>
ISSB基準の開示支援教材を公表気候変動(S2)のリスク・機会検討に活用

国際サステナビリティ基準審査会(ISSB)は12月14日、2024年1月発行のサステナビリティ開示基準のIFRS・S2(気候変動)に対応する際、リスクと機会の「自然および社会的側面」の検討に活用することを目的にした教材を公表した。

(参考情報:2023年12月14日付 ISSB HP

<人権>
権利侵害リスク高のAIはアセスメント義務化へ 世界初の規制案でEUが暫定合意

EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会は12月9日、EU域内で一律に適用される人工知能(AIの包括的な規制枠組み案で暫定的合意に達したと公表。リスクの高い用途でのAI利用禁止や提供事業者への義務の明示など、域内で提供されるAIシステムの安全性や基本的人権などの確保が目的。世界初のAIに関する法的枠組みを目指す。

(参考情報:2023年12月9日付 欧州連合理事会 HP

<内部通報制度>
消費者庁が内部通報制度の実態調査に着手 法改正後の課題の洗い出しへ

消費者庁は2023年11月9日の記者会見で、上場企業約4千社を含む1万社を対象に、内部通報体制の実態を調査することを明らかにした。2022年6月施行の改正公益通報者保護法で、内部通報体制の整備が企業に義務付けられて以降初の調査となり、体制整備の状況や課題を把握することが目的である。

(参考情報: 消費者庁 HP

<ガバナンス>
高まる社外取締役の重要性日本弁護士連合会「社外取締役ガイドライン」を改訂

日本弁護士連合会は12月14日、「社外取締役ガイドライン」の改訂版を公表した。昨今の社外取締役を取り巻く環境の変化やそれを受けて経済産業省が策定してきた各種指針等の内容を反映している。本ガイドラインは、取締役の法的義務を踏まえ、社外取締役が果たすべき役割や就任時・取締役会時・不祥事発生時といった局面ごとの対応や留意点などのベストプラクティスを取りまとめたもので、前回2019年から4年振りに改訂された。

(参考情報:2023年12月14日付 日本弁護士連合会 HP

<サイバー>
サイバーセキュリティ情報開示は投資判断の一つ日本IT団体連盟調査

一般社団法人日本IT団体連盟に設置されたサイバーセキュリティ委員会の企業評価分科会は、企業のサイバーセキュリティの取組姿勢および情報開示に関する調査の報告書を公開した。

(参考情報:2023年12月8日付 日本 IT団体連盟 HP 「サイバーインデックス企業調査 2023」

<中小企業>
リスクは認識するも対策は道半ば 日本損害保険協会「中小企業のリスク意識・対策実態調査2023」

一般社団法人日本損害保険協会は2023年12月、「中小企業におけるリスク意識・対策実態調査2023調査結果報告書」を公表した。本調査は、中小企業の自社を取り巻くリスクに対する対応力と損保業界の対応力の強化に向けた対応策を検討するにあたり、①中小企業における自社を取り巻くリスクの認識状況、②中小企業におけるリスクへの対策状況、③中小企業において損害保険が十分に浸透しない真因、④中小企業への有効な情報提供方法を把握することを目的に2021年度から実施。多様化・複雑化するリスクに対する中小企業の意識、実際の被害内容や被害額、損害保険への加入状況などを調査した。

(参考情報:2023年12月18日付 一般社団法人日本損害保険協会「中小企業のリスク意識・対策実態調査 2023」

<リスクマネジメント>
最大の脅威は「誤報と偽情報」世界経済フォーラムがグローバルリスク報告書を公表

世界経済フォーラム(WEF)は1月10日、2024年版の「グローバルリスク報告書」を公表した。報告書では、顕在化した場合に世界のGDPや人口、天然資源などに大きな影響を及ぼす「グローバルリスク」について、世界各国のリスク分析の専門家や企業経営者ら約1500人への聞き取りから分析。「今後2年間における世界の見通しは圧倒的に暗く、今後10年間でさらに悪化する」とし、今後2年間における短期的リスクでは「誤報と偽情報」が最も深刻な影響を及ぼすという結果となった。

(参考情報:2024年1月10日付 世界経済フォーラム HP

<リスクマネジメント>
ユーラシアグループが「2024年10大リスク」を公表地政学リスクが上位を占める

政治学者のイアン・ブレマー氏が社長を務める米コンサルティング会社・ユーラシアグループが、「2024年10大リスク」を公表した。米国で大統領選をめぐる対立が激化していることや、中東、ウクライナの情勢が緊迫していることから、地政学リスクが上位を占めた。同社は、9位に入った気候変動のようなリスクでは、カーボンニュートラルなど取るべき対策の方向性が明らかになっているのに対し、分断や対立といった地政学リスクは、どちらが正しいかを判断することが難しく、より大きいリスクだとしている。それ以外では、Chat-GTPをはじめ2023年の大きなトピックとなったAIなどが連なっている。

(参考情報: ユーラシアグループ HP

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